日本語学校の事務員はどのような仕事をしているのでしょうか。留学生のサポートが中心ですが、実は毎日が大変な連続なのです。事務員の業務は多岐にわたっており、留学生の生活トラブル対応から学費滞納の管理、留学ビザ申請まで、休む暇もないほど忙しいのが現状です。
しかし、留学生の良き理解者として献身的に働く事務員の姿は、なかなか表に出ることはありません。今回は、そんな日本語学校事務員の知られざる奮闘ぶりを詳しく紹介していきます。
日本語学校事務員の業務は多岐にわたり休む暇もない!
日本語学校事務員の業務は本当に幅広く、次から次へと舞い込んでくる仕事をこなしていかなければなりません。朝から夕方まで身を削るように働き続けるのが日常茶飯事です。
留学生の生活トラブル対応に追われる毎日
事務員が最も時間を割いているのが、留学生の生活トラブル対応です。初めて日本で生活する留学生たちは、文化の違いや言葉の壁に悩まされ、些細なことでも大きなストレスを抱えてしまいます。
例えば、ゴミの分別ができずにゴミ出しのルールを守れなかったり、電化製品の使い方が分からず壊してしまったりと、日本人の感覚からすると思いもよらない問題が次々と発生します。留学生から泣きながら相談を受けることも珍しくありません。
事務員は一つ一つ丁寧に対応し、解決策を提示していかなければなりません。トラブルが起きるたびに現場に駆けつけ、時には留学生と一緒に掃除をしたり、修理業者を手配したりと、泥臭い仕事も厭いません。
言葉の壁により簡単な対応も一苦労
トラブル対応を難しくしているのが言葉の壁です。日本語教育機関とはいえ、来日したばかりの留学生の多くは日本語が十分に話せません。簡単な受け答えもままならないのが実情です。
事務員は身振り手振りを交えたり、やさしい日本語に言い換えたりと、トライ&エラーを繰り返しながらコミュニケーションを取っていきます。英語や中国語など、留学生の母語ができれば心強いのですが、語学堪能な事務員ばかりではありません。
また、公的機関との連絡や病院の受診など、事務員自身も専門用語だらけで理解が難しい場面では、留学生と一緒に「ん?」「ええっと…」と唸りながら説明を受けているのが現状です。
留学生の学費滞納は頭の痛い問題
学校運営において、学生の学費は重要な収入源です。しかし、留学生の中には、仕送りの遅れや経済状況の悪化により、学費の滞納が発生してしまうことがあります。
事務員は未払いの学生を洗い出し、催促の連絡を取らなければいけません。しかし、学費の督促は慎重に行わなければ、せっかく築いてきた信頼関係が崩れてしまうリスクがあります。
滞納の理由を丁寧に聞き出し、場合によっては分割払いを提案したり、奨学金の申請を手伝ったりと、柔軟に対応することが求められます。学生の立場に立って一緒に解決策を探る姿勢が欠かせません。
日本語学校事務員は留学ビザ申請のプロ!書類チェックに神経をすり減らす
日本語学校事務員のもう一つの重要な仕事が、留学ビザ申請のサポートです。留学生を受け入れるためには、入国管理局に申請書類を提出し、在留資格認定証明書の交付を受ける必要があります。
留学ビザ申請のミスは学校の信頼に関わる重大事
留学ビザの申請は非常に煩雑で、書類の間違いや記入漏れは許されません。入管の審査官は鋭い目を光らせており、ほんの些細なミスも見逃しません。
事務員は書類を幾度となくチェックし、誤りがないか念には念を入れます。学歴や経歴、家族構成など、学生の背景について細かく確認するのはつらい作業です。
申請書類に不備があると、在留資格認定証明書の交付が遅れたり、最悪の場合は不交付になったりします。それにより学生の入学時期が大幅に遅れてしまえば、学校の評判にも傷がつきます。
何より、留学する夢を胸に準備を進めてきた学生に、「ビザが下りなかったから来日できない」と伝えるのは、事務員にとって心が痛む瞬間です。だからこそ、ビザ申請には細心の注意を払い、何度も確認作業を繰り返すのです。
留学生の入国トラブルは事務員の危機管理能力が試される
無事にビザが発給されても、安心はできません。留学生の来日に向けて、事務員はフライトの確認から空港での出迎えまで、入念な準備を進めます。
ところが、飛行機が欠航したり、留学生が入国審査で止められたりと、予期せぬトラブルはつきものです。平常心を保ちながら、臨機応変に対応策を講じていくことが事務員に求められます。
深夜や早朝であろうと、留学生の緊急連絡にはすぐ応じなければなりません。イレギュラーな事態ほど冷静さが重要で、その時の判断力が事務員の真価を問われます。
事務員は母国を離れた留学生の良き理解者となることが求められる
事務員の仕事はデスクワークだけではありません。むしろ、ヒューマンスキルが非常に重要とされる職種だと言えます。未知の環境で学ぶ留学生にとって、事務員は最も身近な相談相手なのです。
ホームシックや文化の違いに悩む留学生のメンタルケアも大切な仕事
初めての海外生活で、留学生の多くはホームシックに悩まされます。慣れない食事や生活習慣、言葉の壁にぶつかるたびに、「帰りたい」と弱音を吐くこともあります。
そんな時、事務員は父親のように、時には母親のように、留学生の悩みに耳を傾けます。「日本に来てよかった」と思えるよう、日本の素晴らしさを伝えつつ、様々なアドバイスをしていきます。
カルチャーショックを和らげるためのイベントを企画したり、日本の伝統文化を体験する機会を設けたりと、事務員は留学生がいきいきと学校生活を送れるよう、心を砕いています。
時に厳しく時に優しく、留学生の気持ちに寄り添うことが重要
一方で、事務員は留学生の甘えを許してはいけません。規則違反やルール無視など、悪いことには毅然とした態度で接することが肝要です。
しかし、頭ごなしに叱るのではなく、なぜいけないのかを丁寧に説明し、納得させることが大切です。留学生の気持ちに寄り添いながら、社会人としてのマナーを身につけさせるのも、事務員の役目なのです。
時には、親身になりすぎて自分自身が疲弊してしまうこともあります。「あの学生、ちゃんとやっているかな」と、つい先回りして心配してしまう事務員も少なくありません。
日本語学校事務員は献身的な働きでも評価されにくい職種
日本語学校事務員の仕事ぶりを見ていると、「縁の下の力持ち」という言葉がぴったりだと感じます。留学生の陰で必死に働いているのに、その存在はあまり知られていません。
事務員の働きは表に出にくく、数字には表れません。だからこそ、評価されにくい職種だと言えるかもしれません。しかし、留学生の笑顔を見た時、「ありがとう」と言われた時、やりがいを感じずにはいられません。
強いメンタルと異文化コミュニケーション力が求められるストレスフルな仕事
日本語学校事務員は、想像以上にメンタルが必要な仕事です。日々の激務をこなしていくにはかなりの体力と忍耐力が求められます。「今日も帰れない…」と途方に暮れる日もあるでしょう。
また、多様な文化的背景を持つ留学生とコミュニケーションを取るのは、一筋縄ではいきません。相手の価値観を尊重しつつ、上手に自分の意見を伝えるスキルが必要不可欠です。
それでも、異文化交流の面白さを知り、多様性を受け入れる心の広さを養える貴重な職業だと、私は考えています。世界に目を向け、視野を広げられるのは、この仕事の醍醐味ではないでしょうか?
日本語学校事務員の仕事は、ハードで地味な印象があるかもしれません。でも、陰ながら留学生の人生に寄り添い、支えているのです。どうか、そんな献身的な事務員の働きにも、あたたかい目を向けてほしいと思います。
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