教員の転職活動は本当に禁止なのか、動く前に知っておきたいこと

教員 転職活動 禁止の解説イメージ

教員の転職活動は禁止なのか、調べるたびに不安が増していませんか。

「もし転職活動がバレたら処分されるんじゃないか」「法律に引っかかるんじゃないか」——そういう感覚が頭から離れず、転職サイトを開いては閉じる。そんな状態、珍しくないんです。

ただ、この不安の正体は「事実の確認不足」である場合がほとんどです。

転職活動そのものを禁じる法律は存在しません。

問題になりうる行為は別にあって、そこをちゃんと知っておくだけで、動き出す判断がずっとしやすくなります。

特に「動くべきかどうか迷っている段階」にいる現役教員の方に向けて書きました。

目次

教員の転職活動は法律上どう扱われているのか、まず確認しておく

教員の転職活動は法律上どう扱われているのか、まず確認しておく

「禁止」という言葉が頭にあると、転職活動のあらゆる行動が後ろめたく感じてしまいます。

でも実は、この「禁止」という認識自体が、少しズレているんと言えます。何が法律で規制されていて、何は自由なのか。

ここを正確に押さえることが、全ての出発点です。

公務員・教員に適用される法律が実際に定めていること

公立学校の教員は地方公務員法の適用を受けます。この法律が規制しているのは、主に以下の行動です。

  • 営利企業への従事
  • 兼業・副業(許可なし)
  • 秘密漏洩
  • 争議行為

どれも「在職中の具体的な行為」に対する制限です。将来の就職先を探す行為、つまり転職活動そのものは含まれていません。

地方公務員法の第38条は「営利企業等の従事制限」を定めていますが、これは報酬を得て別の事業に従事することを制限しているものです。

就職活動や情報収集をすることは、ここには該当しないんです。

「転職活動」と「副業・兼業」は法律上まったく別物だとわかる

多くの人が混同しているのがここです。

副業・兼業は「報酬を得て働くこと」です。無許可でやれば処分の対象になる可能性があります。

一方、転職活動は「次の職場を探す情報収集と意思決定のプロセス」です。収入は発生しませんし、現在の職務への支障も原則ありません。

転職エージェントに登録して求人を見る、履歴書を書く、面接に行く——これらは全て、就業時間外に行う私的な行動です。私的な行動の自由は、公務員であっても最大限に保障されています。

要は、「お金をもらって働く」と「次の仕事を探す」は、法律の目線ではまったく別の話なんです。

在職中に転職活動をしている教員が実際にどれだけいるか

転職者数のデータを見ると、状況がよくわかります。

文部科学省の「学校教員統計調査」によると、公立の小・中・高等学校での教員の転職者数は、2012年から2021年の10年間で増加傾向にあります。2018年から2021年の3年間だけで15.6%もの増加が見られました。

これだけの人数が転職を実現しているということは、在職中に転職活動をしている教員が一定数いるということを意味します。処分が下ったという記録もなく、粛々と次のステップへ進んでいる人が実際にいるわけです。

「自分だけがこんなことを考えているんじゃないか」という孤独感は、このデータを見るとかなり和らぎます。

「禁止されている」という思い込みで、教員が損をしていること

「禁止されている」という思い込みで、教員が損をしていること

ここが、正直一番大事だと思っています。

法律の話を確認したうえで、それでも動けない教員がいます。理由は「バレたらどうしよう」という漠然とした恐怖感です。

ただ、この恐怖はかなりの確率で、根拠のない思い込みから来ています。

「バレたらどうしよう」という不安だけで行動を止めていた実態

夜、スマホで転職サイトを開く。でもすぐに閉じる。

「これを見ているだけで何かまずいことになるかも」と感じて。

この感覚、分かります。でも、少し冷静に考えてほしいんです。

転職活動に恐怖を感じる人は多い一方で、実際に転職してみると後悔がないという声が圧倒的に多いというデータもあります。転職経験者へのアンケートでは、転職に恐怖を感じた人が66%いた一方で、転職後に「後悔はない」としている人が91%にのぼるという結果も出ています。

恐怖の大きさと、実際の問題の大きさは、一致しないんと言えます。

情報収集や登録だけで処分が下った事例は存在しない

率直に言うと、

転職サイトに登録した、エージェントと面談した、履歴書を送った——こういった行為で処分を受けた教員の事例は、確認されているものがありません。処分が下るのは「在職中に報酬を得た」「職務専念義務を大きく損なった」など、もっと具体的な行為に対してです。

「調べること」「準備すること」は処分の対象にならない。これは言い切れます。

ただ、就業時間中に校内のパソコンで転職サイトを開いたり、授業中にエージェントに電話したりするのは別の話です。それはもう転職活動の問題ではなく、職務怠慢の問題になります。

場所と時間を選べば、リスクはほぼゼロに抑えられます。

思い込みで動き出しが遅れると、選択肢が狭まっていく

これ、地味に深刻な問題なんです。

転職市場では年齢が一つの基準になります。

同じスキル・同じ経験でも、30代前半と30代後半では見られ方が変わることがあります。さらに教員特有のキャリアは、一般企業から見ると「未経験に近い」と判断されることも少なくありません。

迷っている間にも時間は動いています。「いつかやろう」が半年後、1年後になると、選べる求人の幅が変わってきます。

動き出しが早い人ほど、選択肢が多い状態でキャリアを考えられる。

それだけのことです。

準備に時間をかけすぎて、タイミングを逃す——転職活動でよくあるパターンです。

転職活動を進める前に、整理しておくべき職場のルール

転職活動を進める前に、整理しておくべき職場のルール

法律上の制限と、職場のルールは別の話です。

ここは少しあっさりいきます。重要なのは2〜3点だけで、細かいことを気にしすぎても仕方がないので。

就業時間中・校内での転職活動は問題になりえると押さえておく

就業時間中は「職務専念義務」があります。これは公務員共通の義務です。

  • 授業中の転職サイト閲覧
  • 校内パソコンでの転職活動
  • 勤務時間中の面接電話
  • 職員室での転職相談

これらは転職活動そのものが問題なのではなく、「勤務中に私的行為をしている」ことが問題になります。

就業時間外・自宅・個人デバイスで行えば、原則として問題は生じません。

転職先への情報漏洩や名義貸しが本当にアウトな行為だ

明確にアウトなのは2つあります。

1つは、現職の学校の情報を転職先に渡すこと。

保護者情報、生徒情報、職員の人間関係——これらは守秘義務の対象です。

転職面接での「自己PR」として語る場合も、具体的な個人情報に触れないよう注意が必要です。

もう1つは、名義貸し。「教員」という肩書きを使って別の事業に携わるケースは、稀ですが問題になります。

転職活動自体とは別の話ですが、頭に入れておいてください。

管理職への報告タイミングは「内定後」で問題ない場合がほとんど

「転職活動を始めたら、すぐ校長に言わなければいけない?」という疑問をよく耳にします。

答えはノーです。

転職活動を始めた段階で報告する義務は、法律上も職場規程上もありません。「内定が決まってから」が一般的です。

内定を受諾して退職の意思が固まった段階で、初めて管理職に報告するのが自然な流れです。

早めに話すことで配慮を受けられる場合もありますが、活動中に話してプレッシャーがかかったり、関係性が変わったりするリスクもあります。「内定後」が基本と覚えておいてください。

転職エージェントを使うべきかどうか、実は条件次第で変わる話

ここで少し角度を変えます。

転職エージェントの活用は、上位の転職情報サイトのほぼすべてで「おすすめ」とされています。

確かに、教員のキャリアを一般企業向けに言語化する作業は一人では難しく、エージェントのサポートは助けになります。ただ、「全員がエージェントを使うべき」とは言い切れないんですよ。

転職エージェントが特に役立つのはどういう人か

エージェントを使うメリットが大きいのは、「何をしたいかまだ決まっていない」「教育業界以外に出てみたい」という人です。

  • 異業種への転身を考えている
  • 自分のスキルが企業にどう映るか知りたい
  • 書類・面接の対策サポートが欲しい
  • 年収の相場感を知りたい

この状況にいる人は、エージェントと話すだけで「自分に何ができるか」の整理がかなり進みます。登録しても発覚リスクはなく、無料で使えるサービスがほとんどです。

情報収集の最初の一歩として、悪い手段ではありません。

反対に、エージェントを使わない方がいいケースもある

一方で、すでに「この会社に行きたい」と決まっている人は、エージェント経由より直接応募の方が話が早いことがあります。

エージェントを通すと紹介手数料が企業側に発生するため、採用コストを気にする企業では直接応募者を優先するケースもゼロではありません。

また、選考スピードがエージェント経由だとワンクッション遅くなることがある、という話も実際にあります。

「行きたい会社が決まっている人は、直接応募も並行して検討する」——これが、エージェント一辺倒という上位サイトの見解に対して付け加えておきたい視点です。

年収についての現実を知っておくと判断しやすい

正直、ここは迷うところです。

総務省の「地方公務員給与実態調査」によると、公立教員の年収はおよそ660万円とされています。一方、民間全体の平均年収は443万円前後。

転職によって年収が下がるケースは珍しくありません。

転職先の求人に「想定年収400万円〜600万円」と書いてある場合、上限の600万円を期待するのは現実的ではないことも多いです。年収は「業界×職種」で決まる側面が強く、1回目の転職では年収よりも「キャリアの方向性」を優先した方がうまくいくことが多いです。

2回目以降の転職で年収を上げる、という発想も持っておくと気持ちが楽になります。

教員が転職活動を安全に始める、具体的な動き方

さて、ここからが実際の話です。「やっていいのは分かった、でも何からやるの?」という段階に入ります。

シンプルにいきます。

やることは3つだけです。

まず就業時間外に、自宅から動き出す手順

最初にやることは、転職エージェントへの登録と、転職サイトへのプロフィール登録です。

  • 自宅・個人PCか個人スマホを使う
  • 登録は就業時間外(夜か週末)に
  • 個人メールアドレスを使う
  • 職場のネットワークは使わない

これだけで、発覚リスクはほぼゼロになります。メールアドレスさえ個人のものを使えば、連絡が職場に届くことはありません。

面接日程の調整も、有給休暇を活用すれば解決できます。

転職エージェントへの登録で何ができるか知っておく

「登録すると、すぐ求人を大量に押し付けられる」と思っている人もいますが、そんなことはないです。

最初の面談(オンライン可)では、キャリアの棚卸しから始まります。

教員として培った「授業設計力」「保護者対応力」「クラスマネジメント」「カリキュラム構築経験」——これらが企業の文脈でどう表現できるか、言語化の手伝いをしてくれるのがエージェントの役割です。

個人情報は登録先のサービスが管理します。学校や同僚には一切伝わりません。

「今の職場に知られる」という仕組みは、登録段階では存在しないんです。

年度末に向けたスケジュールの組み方が後悔を変える

教員の転職活動で見落とされがちなのが、退職のタイミングです。

学校現場では、3月末が年度の区切りです。この時期に合わせて退職することが、職場への影響が最も少なく、かつ次の職場への入社タイミングとも合いやすいです。

逆算すると、3月末退職を目指すなら、12月〜1月には内定を得ている状態が理想です。そのためには、秋(9〜10月頃)から本格的に動き始めるのが現実的なラインになります。

年度の途中から焦って動くより、1年前から情報収集を始める方が、選択肢がずっと広くなります。

月の残業が45時間を超えることも珍しくない教員の現場では、転職活動の時間を確保すること自体が難しいのも事実です。だからこそ、「忙しくなる前の今」から動き始める意味があります。

教員が転職活動を「禁止」と感じていた理由、ネット上の声を読んでみると

転職を考えている教員のリアルな声は、知恵袋や掲示板、Xのタイムラインにかなり散らばっています。

「禁止かどうか」よりも「バレたらどうなるか」を気にしている人が圧倒的に多い印象で、ここではそうした声をまとめてみました。

動いてみて初めて、禁止じゃないってわかった

転職サイトに登録しようとして、何度も手が止まった。

「教員が転職活動するのって、許可いるんだっけ」「就業規則違反になったりしないか」って、登録画面を開いたまま閉じてを繰り返したのが最初の数週間。

結局、法律的には問題ないんですよね。地方公務員法で副業は制限されてるけど、活動そのものはまた別の話で。

ただ、職場の空気は完全に別の問題。管理職に知られたら面倒になるんじゃないかって感覚が先に来て、それが「禁止」に見えてた気がする。

実際に動いてみたら、エージェントの面談も拍子抜けするくらいふつうの流れで、何も起きなかった。あの数週間何を怖がってたんだろうって思う。

途中でやめた、という話

私の場合、転職活動を始めたのは産育休から復帰して半年くらい経ったころでした。

授業の合間にスマホで求人を見たり、土日に履歴書を書いたりしていたんですが、正直どんどん体力が削られていって。

そういえばあのころ、職員室の冷蔵庫に誰かの弁当が何日も入りっぱなしで、なんか全員余裕なかったんですよね。それは関係ないけど、そういう疲弊した空気の中で活動してたのを急に思い出した。

結局、一次面接まで進んだところで力尽きて、お断りのメールを出してそのままにしてしまって。

今は少し落ち着いたから再開しようかとも思ってるけど、どこから手をつけるかがまたよく分からなくなってる。続かなかったというより、中断のまま止まってる感じ。

禁止じゃないのは知ってた。でも。

正直、禁止かどうかはわりと早い段階で調べてたし、法律的にはセーフって理解してた。

問題はそこじゃなくて、応募書類に「現職:公立中学校教員」って書いたとき、採用側がどう見るかのほうだった気がする。

転職市場で教員がどう評価されるか、まあよく分からないまま数社受けてみて。手応えはあったりなかったり。

なんていうか、「禁止じゃないなら動ける」って単純な話でもなくて、もう少し別のところに壁があるんだよな、とは感じてる。

うまく言語化できてないけど、そのへんは今も整理できてないまま。

よくある質問

教員の転職活動は法律で禁止されていますか?

禁止されていません。地方公務員法が制限しているのは在職中の副業・兼業(報酬を得て別の業務に従事すること)であり、転職活動そのものは対象外です。就業時間外に個人デバイスで行う分には、法律上の問題はありません。

転職エージェントに登録すると、職場にバレますか?

個人メールアドレスで登録し、個人デバイスを使って活動している限り、職場に情報が伝わる仕組みはありません。エージェントは登録者の個人情報を在籍先に通知することはなく、発覚リスクは実質的にありません。

管理職への報告はいつすればいいですか?

内定を受諾して退職の意思が固まった段階で報告するのが一般的です。活動中に報告する義務はなく、内定後に速やかに管理職へ伝え、後任準備などの引き継ぎを進めるのが現実的な流れです。

転職すると年収は下がりますか?

公立教員の年収はおよそ660万円前後とされており、民間全体の平均を大きく上回っています。転職直後に年収が下がるケースは少なくありませんが、業界や職種の選び方次第で変わります。1回目の転職では年収よりキャリアの方向性を優先する考え方も有効です。

教員の転職活動はいつから始めるのが適切ですか?

3月末退職を目標にするなら、前年の秋頃から情報収集を始めるのが現実的です。多忙な教員の現場では時間の確保が難しいため、年度が比較的落ち着いている時期を使って早めに動き出すことが、選択肢を広げるうえで重要です。

「禁止」ではなく「注意すべき行為がある」と分かれば、最初の一歩が軽くなる

教員の転職活動は、禁止されていません。

これが、この記事で一番伝えたかったことです。地方公務員法が制限しているのは、在職中の副業・兼業と秘密漏洩です。

転職先を探す行為、エージェントと話す行為、履歴書を書く行為は、法律上の問題に該当しません。

気をつけるべきことは、就業時間中に動かないこと、校内ネットワークを使わないこと、職務上知り得た情報を外部に持ち出さないこと——それだけです。これは転職活動特有の制限ではなく、公務員として当然守るべきルールです。

「禁止されているかもしれない」という思い込みは、ある意味”準備の無限ループ”を生み出します。確認が終わるまで動けない、でも確認の基準が自分の中にない、だからずっと動けない。

この状態のことです。法律の事実を把握することで、このループから抜け出せます。

動き出さないことに、リスクがないわけではありません。時間が経つほど選択肢は変わり、年齢が上がるほど市場での見られ方も変わります。

今は「転職したい」というより「転職してもいいのか」を確かめたい段階かもしれませんが、それで十分です。

まずエージェントに登録して、話を聞いてみる。

それだけで何かが決まるわけではないし、そこから戻ってきてもいい。ただ、動いてみないと分からないことが、転職活動には確実にあります。

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