「あの生徒、今日も来るのか……」と、出勤前に少しだけ憂鬱な気持ちになったことはありませんか?実は、塾講師の8割以上が「苦手な生徒」への対応に頭を抱えた経験があると言われています。一生懸命教えているのに反応が薄かったり、逆に反抗的な態度をとられたりすると、自分の指導力不足を責めてしまいそうになりますよね。
この記事では、私が10年間の講師生活で見つけ出した、苦手な生徒との関係を劇的に改善する5つのアプローチをお伝えします。読み終わる頃には、明日からの授業が少しだけ楽しみになっているはずですよ。
塾講師が「苦手な生徒」を感じてしまう主な原因と心理的背景
なぜ、特定の生徒に対して「教えにくい」「合わない」と感じてしまうのでしょうか。その原因は、単に相性の問題だけではありません。
講師側の心理的な防衛本能や、教育に対する熱意が空回りしているケースも多いのです。まずは、そのモヤモヤの正体を解き明かしていきましょう。
原因が分かれば、対策も立てやすくなりますよ。
なぜ「教えにくい」「合わない」と感じてしまうのか?
私たちが「苦手だ」と感じる背景には、自分のコントロールが及ばないことへの不安が隠れています。特に若手講師の方は、完璧な指導を目指すあまり、予想外の反応に戸惑ってしまうことが多いんです。
苦手を感じる要因
- 期待の裏切り
- 価値観の相違
- 自己否定感
これらの要因が重なることで、生徒への苦手意識が強まります。特に「これだけ準備したのに」という期待が裏切られた時のショックは大きく、それが無意識のうちに相手への拒絶反応として現れてしまうのです。
自分の指導スタイルへの固執が壁を作る
講師として自信がついてくると、無意識に「自分の勝ちパターン」を生徒に押し付けてしまうことがあります。しかし、生徒一人ひとりの学び方は千差万別です。
自分のスタイルが通用しない生徒を「教えにくい」と切り捨ててしまうのは、実は自分のコンフォートゾーンを守ろうとする心理の表れかもしれません。相手を変えるのではなく、自分の引き出しを増やすチャンスだと捉え直すことが、苦手意識を克服する第一歩になります。
鏡合わせの法則でイライラが伝染する
心理学には「投影」という言葉がありますが、生徒の態度は講師の心の状態を映し出す鏡のようなものです。こちらが「この子は苦手だ」と思って接していると、微細な表情や声のトーンからそのニュアンスが相手に伝わります。
生徒も敏感にそれを察知し、さらに心を閉ざしたり反抗的になったりするという負のスパイラルに陥るのです。まずは自分自身の心の緊張を解き、フラットな状態で向き合うことが何よりも大切です。
多くの講師が悩む「苦手な生徒」の共通点
現場で多くの講師に話を聞くと、苦手と感じる生徒にはいくつかのパターンがあることが分かりました。やる気のなさ、反抗的な態度、そして何を考えているか分からない無反応。
これらが講師のエネルギーを奪うんです。
困る生徒の特徴
- 返事をしない
- スマホを触る
- 嘘をつく
こうした態度は、講師としての尊厳を傷つけられたように感じさせます。しかし、これらは生徒なりの「防衛反応」である場合がほとんどです。
表面上の態度に惑わされず、その裏にある感情を読み解く必要があります。
「やる気がない」の裏に隠れた失敗への恐怖
宿題をやってこない、授業中にぼーっとしている生徒を「やる気がない」と一括りにしていませんか?実は、頑張っても成果が出なかった過去の経験から「最初からやらないことで、傷つくのを防いでいる」生徒も多いんです。彼らにとって、無気力は自分を守るための鎧のようなもの。
そこを理解せずに「やる気を出せ」と正論をぶつけても、余計に心の距離が開いてしまうだけです。まずはその鎧を脱げる環境作りが必要です。
コミュニケーションのズレが生む違和感
こちらの質問に対して「別に」「分かんない」としか答えない生徒。こうしたコミュニケーションの拒絶は、講師にとって最も精神を削られる瞬間の一つですよね。
しかし、これは単に「言語化する能力」が未発達なだけかもしれません。自分の感情や理解度をどう言葉にすればいいか分からず、手近な言葉で逃げているだけ。
これを「自分を嫌っているからだ」と誤解してしまうと、講師側の苦手意識はどんどん加速してしまいます。
「苦手意識」を持つ自分を責める必要がない理由
「講師なのに生徒を嫌うなんて失格だ」と自分を責めていませんか?でも、安心してください。人間である以上、相性の良し悪しがあるのは当たり前です。
むしろ、その感情を認めることが解決の近道になります。
自分を許す考え方
- 相性は存在する
- 感情は自然なもの
- プロの割り切り
苦手だと感じるのは、あなたがその生徒に対して「もっと良くなってほしい」と真剣に向き合っている証拠でもあります。無関心なら、腹も立ちません。
自分のプロ意識が高いからこそ悩んでいるのだと、自分を肯定してあげてください。
聖人君子を目指すと指導が苦しくなる
「どんな生徒も愛さなければならない」という理想は素晴らしいですが、それを自分に強いると心がポッキリ折れてしまいます。塾講師は教育者であると同時に、サービスを提供するプロフェッショナルです。
プライベートで仲良くなる必要はありません。「仕事として、この子の成績を上げるために最善を尽くす」というビジネスライクな視点を持つことで、過度な感情移入を防ぎ、メンタルを安定させることができます。
苦手な相手は自分の成長の「バロメーター」
扱いやすい生徒だけを教えていても、講師としてのスキルは一定のところで止まってしまいます。苦手な生徒、思い通りにいかない生徒こそが、あなたの指導の幅を広げてくれる最高の教材です。
彼らとどう接すれば授業が成立するかを試行錯誤する過程で、質問の仕方、間の取り方、褒め方のバリエーションが飛躍的に増えていきます。そう考えると、苦手な生徒の存在が少しだけありがたく感じられませんか?
苦手な生徒との関係を劇的に変える5つの具体的アプローチ

ここからは、具体的なアクションプランに入っていきましょう。精神論ではなく、明日からすぐに使えるテクニックを5つ厳選しました。
これらを意識するだけで、生徒の反応が驚くほど変わります。大切なのは、一度に全部やろうとせず、できそうなものから一つずつ試してみることです。
関係性は、小さな変化の積み重ねでしか変わりませんから。
①「指導」の前に「承認」を。生徒の心理的ハードルを下げる
勉強を教える前に、まずはその生徒の存在そのものを認めることから始めましょう。苦手な生徒ほど、普段から叱られたり否定されたりすることに慣れてしまっています。
そこを「承認」の力で崩していくんです。
承認の具体的な方法
- 変化を言葉にする
- 過程を褒める
- 存在に感謝する
「今日は時間通りに来たね」「消しゴムのカスをまとめてくれたんだね」といった、勉強とは直接関係ない小さな行動を拾い上げてください。自分のことを見てくれているという安心感が、講師への信頼に変わります。
「褒める」ではなく「気づく」の精神で
褒めようと意気込むと、わざとらしくなって生徒に警戒されることがあります。おすすめなのは、単に「事実を伝える」こと。
例えば「ノート、丁寧な字で書いてるね」と言うだけで十分です。評価を下すのではなく、あなたの行動に気づいていますよ、というメッセージを送る。
これが、反抗的な生徒や冷めた生徒の心の壁を少しずつ薄くしていく、最も副作用のないアプローチになります。
ポジティブなレッテル貼りの効果
人間は、他人から期待された通りの行動をとろうとする性質があります。これをピグマリオン効果と呼びますが、あえて「君は質問のセンスがいいね」「実は集中し始めると凄いよね」とポジティブなレッテルを貼ってみてください。
最初は「そんなことないし」と否定するかもしれませんが、心の中では嬉しいものです。何度も繰り返すうちに、生徒自身がそのイメージに自分を合わせようと変化し始めます。
②スモールステップで「成功体験」を共有し、信頼関係を築く
苦手な生徒は、勉強に対して強い劣等感を持っていることが多いです。大きな目標を掲げるのではなく、確実にクリアできる小さな階段を用意してあげましょう。
成功を共有することが、最強の絆を作ります。
成功体験の作り方
- 1問だけ解かせる
- 基本の確認に絞る
- 即座にフィードバック
「このページ全部」ではなく「この1行だけ完璧にしよう」と提案します。できたら「よし、正解!」と大げさすぎない程度に喜びを共有してください。
この「できた」の積み重ねが、生徒の自己効力感を高めていきます。
難易度設定は「8割解ける」くらいがベスト
良かれと思って難しい問題に挑戦させると、解けなかった時にさらに自信を失わせ、講師への不信感に繋がります。苦手な生徒ほど、あえて「絶対に解ける問題」を混ぜて、リズムを作ってあげることが大切です。
「自分でも解けるんだ」という感覚が脳を活性化させ、次の少し難しい問題への意欲を生み出します。講師の役割は、生徒が自力でゴールテープを切れるように、障害物を取り除いてあげることなんです。
昨日との比較で成長を可視化する
他人と比較されることは、苦手な生徒にとって苦痛でしかありません。比べるべきは、常に「昨日のその子」です。
「先週はここで詰まってたけど、今日はスムーズに解けたね」と、具体的な変化を指摘してあげてください。数値化できるもの(計算のタイムや漢字の正答数など)を使うと、より実感が湧きやすくなります。
自分の成長を客観的に示してくれる講師を、生徒が嫌い続けるのは難しいものです。
③感情を切り離し「一貫したルール」で事務的に、かつ公平に接する
感情的にぶつかってしまう相手には、あえて「事務的」になることが有効です。冷たく接するのではなく、誰に対しても同じルールを適用する「公平な審判」のような立ち位置を目指しましょう。
これが心の平穏を守ります。
ルールの運用のコツ
- 例外を作らない
- 淡々と指摘する
- 感情を乗せない
「宿題を忘れたら居残り」というルールがあるなら、お気に入りの生徒も苦手な生徒も全く同じように対応します。そこに講師の「怒り」や「落胆」を乗せないことがポイント。
生徒も「ルールだから仕方ない」と納得しやすくなります。
「怒る」ではなく「困る」と伝える
生徒の態度が悪いとき、つい感情的に怒鳴りたくなりますよね。でも、それは逆効果。
代わりに「君がスマホを触っていると、私は授業が進められなくて困るんだ」と、I(アイ)メッセージで伝えてみてください。相手を攻撃するのではなく、自分の状況を伝える。
これだけで、生徒側の反発心を抑えつつ、行動の改善を促すことができます。感情のぶつかり合いを避ける、大人のテクニックです。
プロフェッショナルな仮面を被る勇気
授業中だけは「塾講師」という役割を演じる俳優になりきってみてください。素の自分で向き合うから、傷ついたり腹が立ったりするんです。
この「仮面」は、自分を守るための防護服でもあります。苦手な生徒が何を言おうが、どんな態度をとろうが、それは「講師役の自分」に向けられたもの。
そう割り切ることで、冷静沈着な指導が可能になり、結果として生徒からの信頼も勝ち取れるようになります。
④「勉強以外の共通点」を雑談から見つけ、心の距離を縮める
勉強の話ばかりだと、苦手意識は固定化されてしまいます。あえて授業の冒頭や終わりに、勉強とは全く関係ない話を振ってみてください。
生徒の意外な一面が見えると、こちらの苦手意識も和らぐことがありますよ。
雑談のネタ探し
- 持ち物を観察する
- 流行りを聞く
- 失敗談を話す
「その筆箱、かっこいいね」「最近、学校で何が流行ってるの?」といった軽い問いかけで十分です。特に、講師側のちょっとした失敗談(「今日、靴下左右逆に履いてきちゃってさ」など)は、生徒の緊張を解くのに絶大な効果があります。
共通の敵や目標を見つける
もし生徒が特定の科目を嫌っているなら、無理に好きにさせようとするのではなく「このテスト、本当に難しいよね。一緒に攻略法を考えよう」と、共闘体制を組むのがおすすめです。
講師対生徒という対立構造ではなく、生徒と講師が隣り合って、高い壁(テストや受験)に立ち向かう。この連帯感が生まれると、苦手意識は自然と消えていきます。
共通の「敵」を持つことは、人間関係を急接近させる近道です。
聞き役に徹して「自己開示」を引き出す
雑談の主役はあくまで生徒です。こちらが一方的に喋るのではなく、相手が話したくなるような質問を投げかけましょう。
「昨日の試合、どうだった?」といったオープンクエスチョンを使い、相手の話を「へぇー!」「それは凄いね!」と全力で肯定しながら聞く。人は自分を認めてくれる人に好意を抱きます。
たとえ勉強ができなくても、自分の好きなことを認めてくれる講師には、少しずつ心を開いてくれるものです。
⑤生徒を「分析対象」として客観的に捉え、指導の改善サイクルを回す
感情が動いてしまうときは、視点を「主観」から「客観」に切り替えます。生徒を攻略すべき難解なゲームのキャラクターだと考えてみてください。
どうすれば攻略できるか、実験を繰り返す感覚です。
客観的分析のステップ
- 行動を記録する
- 仮説を立てる
- 手法を試す
「今日は開始10分で集中が切れた」「数学の図形問題のときは機嫌が良い」といった事実を淡々とメモします。すると「この子は視覚的な情報のほうが理解しやすいのかも」といった仮説が見えてきます。
感情ではなくデータで動くのです。
PDCAを回す楽しみを見つける
「今日はこの声かけをしてみよう(Plan)」「やってみた(Do)」「反応はイマイチだった(Check)」「次はもっと具体的に褒めよう(Action)」。このサイクルを回している間、あなたの脳は「感情」ではなく「論理」で動いています。
イライラする暇がなくなるんですね。予想外の反応が返ってきても「おっと、このパターンは効かないのか。
面白いな」と思えるようになれば、講師としてかなりの上級者です。
成功報酬を自分に設定する
苦手な生徒との授業が終わったあとに、自分へのご褒美を用意しておくのもいい方法です。「あの生徒と1時間やり切ったら、帰りに大好きなコンビニスイーツを買う」といった具合です。
苦手な生徒との時間を「苦行」ではなく「報酬を得るためのミッション」に変換する。このちょっとしたマインドセットの変更が、驚くほど心の余裕を生みます。
自分の機嫌は自分で取って、プロの仕事を全うしましょう。
【タイプ別】対応に困る生徒への効果的な声かけ・接し方

一口に「苦手な生徒」と言っても、そのタイプによって刺さる言葉や態度は異なります。ここでは、現場で特によく遭遇する3つの困ったタイプに絞って、具体的な処方箋をお出しします。
相手のタイプを見極めて、最も効果的なカードを切る。これができると、指導のストレスは激減しますよ。
反抗的な態度をとる・マウントをとってくる生徒への対処法
「先生、そんなことも知らないの?」「この問題、意味なくない?」と突っかかってくるタイプ。彼らは、自分の優位性を示したい、あるいは講師を試している場合が多いです。
真っ向から戦ってはいけません。
反抗的な子への対応
- 知識を認める
- 土俵に乗らない
- 役割を与える
「お、よく知ってるね!じゃあ、この部分は君が解説してみてよ」と、相手の知識を認めつつ、そのエネルギーを授業の推進力に変えてしまいます。マウントを「貢献」に変換させるのが、最も賢いやり方です。
ユーモアで受け流す余裕を見せる
挑発的な言動に対して、ムッとした顔を見せたら相手の勝ちです。そこは「おっ、鋭いツッコミだね!吉本行けるんじゃない?」と、ユーモアを交えて軽く受け流しましょう。
講師が動じない姿を見せ続けると、生徒は「この人を怒らせても面白くないな」と感じ、次第に無駄な挑発をやめるようになります。余裕のある大人の背中を見せることが、最高に効果的な教育になるんです。
一対一のときに本音を聞き出す
周りに他の生徒がいるとき、反抗的な子は「観客」を意識してパフォーマンスをしていることがあります。授業前後や休み時間など、誰もいないところで「さっきはあんなこと言ってたけど、本当はどう思ってるの?」と静かにトーンを落として聞いてみてください。
意外と素直な悩みを吐露してくれることがあります。集団の中での顔と、個人の顔を使い分ける。
このギャップを突くのがポイントです。
全く喋らない・反応が薄い生徒へのアプローチ
何を言っても「……」「別に」で終わってしまうタイプ。これが一番疲れるという講師の方も多いでしょう。
彼らは拒絶しているのではなく、単に「どう反応していいか分からない」だけかもしれません。ハードルを極限まで下げましょう。
無反応な子への対応
- 二択で質問する
- 沈黙を待つ
- 非言語を拾う
「どう思う?」ではなく「AとB、どっちがいいと思う?」と、選ぶだけの質問に変えます。また、返事がなくても「考えてるんだね、待ってるよ」と笑顔で待つ。
この「待ってもらえる安心感」が、少しずつ言葉を引き出します。
頷きや視線を「言葉」として扱う
声が出なくても、生徒は体で反応しています。ちょっとした頷き、ペンが止まる瞬間、視線の動き。
これらを「あ、今分かったって顔したね!」「そこ、ちょっと迷ってる?」と言語化してあげてください。自分の小さなサインを拾ってもらえる経験を積むことで、生徒は「この人には伝わっているんだ」と安心し、徐々に自分の言葉で喋る勇気を持てるようになります。
沈黙を恐れず、観察を楽しんでください。
交換日記やメモを活用する
対面だと緊張して喋れない子には、書いて伝える方法が有効です。授業報告書の端っこに「今日ここ頑張ってたね」と一言書き、生徒にも一言書いてもらう。
あるいは、質問を付箋に書いて出してもらう。文字を通したコミュニケーションは、喋るよりも心理的障壁が低いです。
アナログな方法ですが、これがきっかけで信頼関係が爆発的に深まるケースは、実は塾の現場では「あるある」なんですよ。
宿題をやってこない・やる気が見られない生徒の動機付け
何度言っても宿題を忘れる、授業中もやる気ゼロ。そんな生徒には「正論」は毒になります。
「やりなさい」の代わりに、彼らが「これならできるかも」と思える小さな仕掛けを散りばめていきましょう。
無気力な子への対応
- 量を極端に減らす
- 期限を細かく切る
- 目的を再定義する
「10ページ」は無理でも「1ページだけ、しかも奇数番号だけ」ならできるかもしれません。宿題の目的も「成績を上げるため」という遠い話ではなく「次の授業で君が恥をかかないため」といった、身近なメリットにすり替えます。
「忘れた理由」を一緒に分析する
「なんでやってこなかったの!」と責めるのではなく「何が原因でできなかったのかな?」と、一緒に原因究明の会議を開きましょう。「寝ちゃった」「部活が忙しかった」「難しくて止まった」。
理由がわかれば「じゃあ、寝る前に5分だけやろうか」と、具体的な対策が立てられます。生徒を責めるのではなく、生徒と一緒に「宿題を忘れるという問題」を解決する。
このスタンスが、生徒を自発的な行動へと導きます。
スモールステップの記録をつける
やる気が出ないのは、自分の成長が見えないからです。宿題を1問でもやってきたらシールを貼る、ポイントを貯めるといった、子供だましに見えるような「ゲーミフィケーション」を取り入れてみてください。
中学生や高校生でも、自分の頑張りが可視化されるのは嬉しいものです。小さな「できた」が積み重なってグラフや表になると、それを途切れさせたくないという心理が働き、自然と継続できるようになります。
塾講師としてのメンタルを守る!ストレスを溜めないための思考法
どれだけテクニックを駆使しても、やはり人間相手の仕事。疲れてしまう夜もあります。
大切なのは、生徒を変えること以上に「自分の心を守ること」です。あなたが笑顔で授業を続けることが、巡り巡って生徒のためにもなるんです。
ここでは、講師としての寿命を延ばすための、しなやかな思考法を身につけていきましょう。
一人で抱え込まない!教室長や同僚へ相談する際のポイント
「苦手な生徒がいる」と言うのは、自分の無能さを露呈するようで恥ずかしいと感じるかもしれません。でも、それは大きな間違いです。
チームで生徒を見るのが塾の本来の姿。早めにSOSを出しましょう。
相談のコツ
- 事実ベースで話す
- 他講師の例を聞く
- 解決策を仰ぐ
「あの生徒が嫌いです」ではなく「〇〇さんの授業中、こういった反応があって指導に困っています。他の先生の時はどうですか?」と相談します。
意外と他の講師も同じ悩みを持っていて、話すだけで心が軽くなるものですよ。
「担当変更」は敗北ではない
どうしても相性が合わず、お互いにとってマイナスだと判断した場合は、担当を変えてもらうのも立派なプロの判断です。生徒にとっても、別の講師のほうが伸びる可能性があるからです。
「自分が最後まで見なきゃ」という責任感は素晴らしいですが、執着に変わると危険です。教室全体として生徒の成績を上げることが目的ですから、適材適所を考えるのは戦略的な選択。
自分を追い詰めすぎないでくださいね。
愚痴を「事例研究」に昇華させる
同僚との飲み会や休憩時間に、単なる悪口で終わらせるのはもったいないです。「あの子、どう思う?」という話題を「どうすればあの子のペンが動くか、みんなでアイデア出し合おうぜ」というゲームに変えてみてください。
一人の悩みから、教室全体の指導ノウハウへと変換する。そうすることで、ネガティブな感情が「知的な探究心」に変わり、職場全体の雰囲気も前向きなものになっていきます。
「全員に好かれなくていい」と割り切る勇気
人気講師になりたい、生徒から好かれたいという気持ちは誰にでもあります。でも、その欲求が強すぎると、言うべきことが言えなくなったり、生徒の顔色を伺ったりしてしまいます。
嫌われる勇気を持ちましょう。
割り切るための思考
- 目的は成績向上
- 相性の確率論
- プロの境界線
世の中の2割の人には好かれ、2割の人には嫌われ、残り6割はどうでもいいと思っている……そんな「2:6:2の法則」があります。全員に好かれるのは不可能。
そう割り切ることで、肩の力が抜けて自然体で接せるようになります。
「良い先生」より「役に立つ先生」を目指す
生徒にとって、塾に来る最大の目的は「わかるようになること」「合格すること」です。優しくて面白い先生である必要は必ずしもありません。
たとえ無愛想でも、結果を出させてくれる先生を、生徒は最終的に信頼します。好感度を稼ごうとするエネルギーを、教材研究や質問対応の質の向上に振り向けてみてください。
結果が出れば、いつの間にか苦手だった生徒とも、戦友のような関係になれているはずです。
プライベートの自分と切り離す儀式
塾の校門を出たら、あるいはタイムカードを押したら、もうあなたは「先生」ではありません。生徒の悩みも、苦手な子の顔も、校舎に置いて帰りましょう。
私は帰りの電車で特定の曲を聴く、あるいは入浴剤を入れたお風呂に浸かることで、オンとオフを切り替えていました。仕事のストレスをプライベートに持ち込まないための「スイッチ」を持つこと。
これが、長く楽しく講師を続けるための秘訣です。
苦手な生徒への対応を「講師スキルの向上」と捉え直す
今の苦労は、将来のあなたの「武器」になります。扱いやすい生徒ばかりを相手にしていては得られない、高度なコミュニケーション能力や忍耐力が、今この瞬間に磨かれているんです。
そう思うと、少しお得な気がしませんか?
得られるスキル
- 観察眼の深化
- 説明の多角化
- 感情制御能力
これらのスキルは、塾講師としてだけでなく、将来どんな仕事に就いても、あるいはどんな人間関係を築く上でも役立つ一生モノの財産です。苦手な生徒は、あなたを成長させてくれる「鬼コーチ」のような存在なのです。
トラブル対応の引き出しを増やす
かつて私を最も悩ませた反抗的な生徒との経験は、今では私の鉄板の「指導ノウハウ」になっています。あの時どう声をかけ、どう失敗し、どう解決したか。
そのプロセスすべてが、後輩講師を指導する際の貴重な事例となりました。困難な事例を乗り越えた数だけ、あなたの講師としての市場価値は上がります。
「この子を攻略できたら、私は一皮むけるぞ」という、修行のようなワクワク感を持って向き合ってみてください。
自分の「弱点」を教えてくれる存在
苦手な生徒にイライラしてしまうのは、自分の余裕のなさや、指導の引き出しの少なさを突かれているからかもしれません。つまり、彼らはあなたの「伸び代」を正確に指し示してくれている案内人でもあるのです。
なぜ腹が立つのか?なぜ教えにくいのか?その問いを深掘りしていくと、自分自身の課題が見えてきます。生徒を分析することは、自分を磨くこと。
そう捉えれば、苦手な生徒との時間も有意義なものに変わります。
まとめ:苦手な生徒との向き合い方を変えれば、講師としての自信が深まる
塾講師という仕事は、正解のない問いに挑み続ける、とてもハードで、かつクリエイティブな仕事です。苦手な生徒との出会いは、確かにストレスフルなものかもしれません。
しかし、今回お伝えしたアプローチを一つずつ試していくことで、必ず道は開けます。大切なのは、生徒を「変えよう」とするのではなく、まず自分の「見方」と「接し方」を変えてみること。
あなたが少しだけ視点を変えるだけで、目の前の生徒の表情がふっと和らぐ瞬間が必ず訪れます。その小さな変化こそが、講師としての最大の喜びであり、あなたを本物のプロフェッショナルへと成長させてくれるはずです。
明日、校舎のドアを開けるときは、ぜひ新しい「仮面」と「攻略本」を持って、軽やかな足取りで向かってくださいね。あなたの挑戦を、心から応援しています!
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