今回は塾講師として働く際に有利になる資格です。経営と上場企業の塾講師の両方を経験しましたのでリアルに話せると思います。
調べてみると「塾講師に資格など不要」なんて記事もあったりするのですが・・あり得ないです。
今や塾業界は少子化をめぐって過当競争です。
勝ち組は生徒が空き待ち状態で、あっという間に締め切る一方、中小及び個別指導はかなり厳しい立場に置かれています。
生徒募集も年々低学年化しており、早い段階で生徒を獲得しようという流れはとまりません。
というわけで、今回のテーマは塾講師の転職を有利に運ぶための資格スキルです。
塾の転職の際に自己PR欄に書いて有利になる資格とは?
では結論です。塾講師の転職の際に書いておくと面接官の目に止まる資格は、進学に関係あるものです。
- 英検・数検・漢検の準1級程度
- TOEICの800点前後
- 歴史検定の2級程度
この3つです。特に1番の英検・数検は私立の高校進学の際に内申点に加点されるため生徒の多くが希望します。
【 パスナビ:入試で活用できる検定優遇校一覧より】
最近は早い段階でのお受験が増えていますし、公立中学校の専願・併願(滑り止め)の際に学校の内申点の合計で、ほぼテスト無し(あっても形式上)でパスできるところが増えています。
なぜかと言うと私学は受験料や滑り止めのための仮入学の料金で学校運営資金の半分を賄っているという事実があるからです。
本当に受験というのはドル箱です。
生徒に提供するのがテスト用紙と面接だけで数万~数十万が振り込まれます。
大学入試も同様ですが、前期後期だけではなく、今や1次試験から5次試験まであるところまで増えており、その際の基準点として使われるという実情があります。
塾のHPで英検や漢検の取得や受験会場のPRがあったら間違いなく関係あると思ってください。
英検対策や数検対策を足掛かりに、入塾へ誘導するというのは当たり前に行われている手段です。
その際に講師が資格取得者であれば保護者へのPRになりますし、当然採用時に有利になります。
教員免許の資格は塾転職時の評価対象になる
教員免許に関してはもちろん評価対象になります。教育学部に進んだなどもそうで、「やっぱり子供が大好き」というのは塾でも学校でも最重要の評価対象です。
ただ、教員免許を持っている教科と塾の担当教科が同じになるケースは実は少ないのです。
特に高校受験の場合コマの関係から3教科、または5教科全部を担当させられることが多く、幅広く教えられるスキルの方が好まれます。
持っていてもあまりPRできない資格もある
一方で難易度が高い国家資格、準国家資格でも塾の転職の際には特に優遇されないものもあります。
- 心理士系
- 会計士・弁護士
- 建築士
私立の学校教育では評価対象になるのですが・・・受験産業の中心ともいえるべく塾業界に関しては、面接時に突っ込まれて聞かれることはほぼないです。
持っていたら「なぜこの資格を持っているのに塾なの?」という質問は来ます。
その際「建築の技術を塾の授業で役立ててみたい・・」なんていう答えはNGです。
学習塾は成績UPと保護者対応という絶対的な不文律があり、そこから大きく外れて自分を押し出した授業を展開されると経営的に問題が起きます。
それよりも「子供が好き」「教えることに興味がある」「昔塾で非常にいい先生にあった」「生徒と一緒に0から成長したい」というような答えの方が塾の面接に有利です。
ちなみに日本語教師の資格に関しては、なんとも言えないです。
国語教師を希望の場合は面白がってくれる採用担当がいます。
ちなみに30代転職当時の自分ですが・・・英検準1+TOEICは800後半位、なおかつ海外にも行って仕事の経験もありましたが、現場で英語教師は余っており、評価されたのは日本語教師の資格の方です
なぜか英語教師ではなく国語教師の採用となりました(笑)
当時は「何なんだよ?」って本当に思いました。
ただ教科の空き時間にはよく英検の手伝いやリスニングセクションの音読、英語の難問を他の先生にばれないように教えたりしたので多少は役立ったのではないかと思います。
学習塾ではTOEICやTOEFUL、留学の経験も大きくは評価されない
同じく一般企業でよく使われる留学や英語のスキルですが、英会話学校でなければこれらの◇経験はあまり優遇されません。
私も海外から帰ってきて一番ショックだったことです。
- ネイティブレベルの発音ができる
- 日本の英語教育ではなく現地の会話を理解できる
- 文法中心ではなくリスニングから英語を学ばせたい
面接で落ちる会話の典型ですのでやめましょう。
面白い経験をしていると、それを評価してくれる経営者や面接官も多いのですが「受験時に必要かスキルかどうか?」という基準で採用官は判断します。
「英語のネイティブレベルの発音や筆記体がうますぎて、生徒がノートを取れない」なんていうクレームを心配してしまうのです。
実際に「今習っている英語は海外で使えない」なんていう発言を塾内で言ったら教室長に呼び出されこっぴどく叱られます(経験済)
年配講師の中には英語にコンプレックスを持っている方も多く、目を付けられますよ?
確かに受験英語と会話の英語は違いますし、学校文法が海外で通じないなんてことは多々あります。
ただ、受験という縛りがある中でそれを正そうと思うのであれば、英語専門塾のようなところを選んだほうが無難です。
小中学校の私立受験の経験は一定の評価がされる
四谷大塚やサピックス・日能研のような小中学校の私立受験性を主に対象とした塾に関しては、「お受験経験」が評価されます。
学校の指導要領外の範囲も受験に出ますし「ハイペースで学年を繰り上げた勉強をどう切り抜けたのか?」という経験は評価基準です。
履歴書、および職務履歴書に書いておくと、中学受験の経験は高評価をもらえることがあります。
プログラミング併設の学習塾はIT資格が評価される
学習塾の競争相手は何も、他塾や私立学校だけではありません。
英会話スクールや小学校に必須となったプログラミングスクールも対象です。
塾の中には差別化を図るために「学習塾+○○」をうたっているとこもあり、プログラミングのスキルが評価される塾も一部あります。
ただ、数は少ないので前面に出してPRをする場がないかと思います。
塾の広報希望であればITの資格が評価対象になるので「入社後にどんな部門ではたきたいのか?」考えておくと良いでしょう。
以前勤めていた塾にもSEから数学教師になった方がいましたが、結局本部の事務採用の方に回されていった経緯があります。
予備校業界ではキャリアと学歴がかなり評価される
大学進学をメインとした大手進学塾や予備校に関しては基本的にキャリアと学歴が評価されます。
高学歴・大学院卒であればそれだけで初めから時給がかなり違いますし、進学トップクラスや高3担当など受験の要といっていいポジションに早く出世できると思います。
ただ、この業界は高学歴者の集まりであり、塾によっては中堅学校の進学をメインとして経営をやっているところもあります。
そのような場合は有名国立や私大ではなく、模擬授業でほぼ面接が決まると言っても過言ではありません。
集団学習塾の採用は模擬授業が9割だと思っていた方が無難です。
一生塾講師をするつもりがないなら転職のためのスキルは必須
一方塾講師は人気商売の面が強く、集団学習塾には年齢には一定の壁があります。
定年の60歳まで第一線で現場に立ち続ける講師は少ないのです。
むしろほとんどいません。
そう考えた場合、塾で使えるスキル以外に一般企業でも使えるスキルを磨いておくことは将来のリスクヘッジとしては非常に重要です。
年をとっても年齢問わずできるのがwebの仕事です。
今はクラウドも発達しておりマイペースで仕事を受注できますので、早めにスキルを獲得して、少しずつ実績を積んでおくことを推奨します。
ITスキルの良いところは他の業界・別の仕事のスキルと併用・応用が利くことです。
ビジネスのオンライン化は待ったなしで進むと思います。
今更ワープロしか使えないなどという講師は生き残れません。塾の授業もパワーポイントをはじめ欠席時のEラーニングを取り入れている所が多数あります。
動画編集・ウェブデザイン・HP作成や資料データー検索の簡単なプログラミングができるだけで、かなりポジションが安定するかと思います。
余力のあるうちに学んでみてはどうでしょうか?
まとめ:資格はあくまで資格!将来のビジョンを持ち投資すべき
最後になりますが、資格というのはあくまで保険、将来を保証すべきものではありません。
高校や大学名もその一部だと思いますが、将来のビジョンをしっかり持ち時間を何に投資すべきか考える時に来ていると思います。
自分の健康だけではなく、家族の突然の病気などで一瞬で生き方は変わってしまいます。
予想もしない巻き添え事故を何度も見てきました。
今できる最良の選択は何なのか?これを機に考えてもらえればと思います!
気軽にどうぞ♪