家庭教師の個人契約書をWordで自作しようとして、最初に手が止まった——そういう話、珍しくないんです。
「契約書が必要なのはわかった。でも、何を書けばいいのか全然わからない」。
そのまま検索を続けて、ひとまずテンプレートをダウンロードしてみたけれど、どれが自分たちの状況に合っているのかもわからない。
個人契約では、センター経由と違って月謝の30〜50%近くが仲介手数料として引かれることがなく、双方にとって条件の良い形を作りやすいです。
ただ、その分、合意内容はすべて自分たちで文書にしていく必要があります。
特に、「契約書なんて大げさかな」と感じながらも、トラブルだけは避けたいと思っている保護者や指導者の方に向けて書きました。詰まりやすい3つのポイントを先に整理しておくと、作業はずいぶん早く進みますよ。
Wordで自作しようとして最初に手が止まる、3つの場面がある

個人契約書の作成で行き詰まるのは、知識が足りないからではないことが多いんです。
むしろ「どこから手をつければいいかわからない」という構造的な詰まり方をしている場合がほとんどです。
「何を書けばいいかわからない」で開いたWordを閉じてしまう
Wordを開いて白紙を眺めるところから始めると、多くの人がここで止まります。
契約書に必要な項目として、「誰と誰が」「どんな内容を」「いつから、いつまで」「誰にどのような権利・義務が発生しているのか」という骨格があります。ただ、これだけ言われても、具体的にどんな文章にすればいいのかイメージできないんです。
実際に家庭教師の個人契約で必要な記載は、大きく分けると「指導条件」「報酬の支払い方法」「解約の条件」「双方の基本情報」の4つです。
- 指導日時と頻度
- 指導場所または形式
- 報酬の金額と支払い方法
- 契約期間と解約条件
- 双方の氏名・連絡先
この5項目を埋めることができれば、最低限の契約書として機能します。白紙から書き始めるより、この5項目を先に並べておいてから文章にしていく方が格段に早いです。
テンプレートを探したら、どれが正解かわからなくなっていた
「テンプレートを探せばいい」と思って検索し始めると、今度は別の問題が出てきます。
ヒットするテンプレートはどれも微妙に形が違って、どれが自分たちの状況に合っているのか判断できなくなるんです。
結論から言うと、どのテンプレートも「そのまま使えるもの」ではありません。雛形は出発点として使い、自分たちの状況に合わせて書き直すのが前提です。
テンプレートを探す時間より、自分たちが合意したい内容をメモする時間の方が、先に必要だということです。
- 対面かオンラインか
- 週何回・何時間か
- 月謝か都度払いか
- 振替のルールはあるか
- 解約の予告期間はどうするか
このメモが先にあると、テンプレートを見たときに「これは使える・これは違う」という判断が自然にできるようになります。
テンプレートは答えではなく、チェックリストとして使うイメージです。
書いていくうちに「これで法的に有効か」という不安が出てきた
ある程度書き進めると、今度は「これで本当に有効な契約書になるのか」という不安が出てきます。
正直、ここは判断が分かれるところです。公証人役場での認証や、弁護士によるレビューを経た文書の方が法的な強度は高くなります。
ただ、家庭教師の個人契約という日常的な取引では、市販の印紙も貼らず、弁護士も使わず、双方が署名・捺印して2部保管した文書でも、十分にトラブル防止の機能を果たします。
「法的に有効か」より「合意内容が文字になっているか」の方が、実務的には大事なんです。口頭では「そんな約束はしていない」という言い逃れができてしまいますが、署名入りの文書があれば、その言い逃れが格段に難しくなります。
これ、意外と見落とされがちなんですよ。
個人契約書をWordで自作するとき、詰まりやすい構造的な理由がある

なぜ多くの人が同じところで詰まるのか、少し立ち止まって考えると見えてくることがあります。
雛形サイトの項目が「何のための記載か」説明されていないまま並んでいる
ネット上の雛形テンプレートを見ると、「指導時間」「報酬」「解約条件」などの項目が並んでいます。ただ、なぜその項目が必要なのかの説明がほとんどないんです。
たとえば「振替のルール」という項目。これが「なぜ契約書に入れる必要があるのか」が書かれていないと、「うちは口頭で決めればいいか」と省いてしまいがちです。
実際には、振替のルールこそが個人契約でトラブルになりやすい筆頭項目です。授業をキャンセルしたとき、誰がいつまでに代替日を提案するのか。
これが不明確だと、指導者側は「キャンセルになったので報酬はなし」と思い込み、保護者側は「振替があるから来週分は払わなくていい」と解釈する——そういうすれ違いが起きます。
「何のために書くのか」がわかると、項目の重要度が自然と見えてくるはずです。
指導者側と保護者側で、書きたいことがそもそも食い違っている
個人契約書の作成で見落とされがちなのが、「保護者側が気にすること」と「指導者側が気にすること」が違う、という前提です。
保護者側が気にするのは、主に「指導の質の保証」と「お金の使い方」です。指導実績・科目の専門性・万が一の時の対応方法などを文書に残したいと思っています。
一方で指導者側が気にするのは「報酬の確実な受け取り」と「不当なキャンセルへの対応」です。
時給2,000〜4,000円程度の相場で合意しても、月末に「やっぱり今月は払えない」「先月の授業は短かったので減額します」という話が出てくることへの不安があります。
- 保護者:質の保証が欲しい
- 指導者:報酬の確実性が欲しい
- 双方:キャンセル・解約のルール
どちらかの視点だけで作った契約書は、もう一方にとって不満が残るものになりがちです。双方の「書きたいこと」を事前に話し合って拾い上げることが、Wordに向かう前に必要な作業です。
オンライン指導かどうかで必要な記載が変わってくる、という話
これは以前はあまり意識されていなかった点ですが、オンラインでの指導が広がるにつれて、対面前提で作られたテンプレートをそのまま使うと「どこで授業をするのか」の記載がないまま契約書ができ上がる、という状況が起きています。
正直、ここは最近になって考えが変わった部分です。以前は「場所の記載は自宅の住所を書けばいい」と思っていましたが、オンライン指導ではそれが当てはまらないという話を知ってから、指導形式ごとに必要な記載が違うという認識になりました。
オンライン指導の場合に追加で明記しておきたい項目があります。
- 使用するツール名
- 通信トラブル時の対応
- 録画・録音の可否
- 学習者の映像・音声の扱い
特に録画の可否は、子どもの個人情報保護から見るとも一文入れておく方がいいです。「上位サイトではテンプレートを活用すれば手軽に作れる」と書かれていることが多いですが、オンライン指導の場合は既存テンプレートに不足する項目があることが多い点は、頭に入れておいてください。
家庭教師の個人契約書をWordで自作するとき、実際に変わる3つの記述を整理しておく

ここが記事の核心です。詰まる場所は「構造」より「具体的な文章に落とし込む場面」なので、3つに絞って整理します。
月謝の支払い条件は「いつ・どの口座へ・何日以内に」まで一行で書き切れる
月謝の記載は、金額だけ書いて終わりにしてしまいがちです。でも実際にトラブルが起きるのは「いつ払うのか」「どうやって払うのか」が曖昧なときです。
書くべき内容は3点です。
支払い日、支払い方法(現金手渡し・振込・電子決済)、振込の場合は口座情報と着金期限。これを一行にまとめると次のような形になります。
「毎月の授業料は翌月〇日までに、指定口座(〇〇銀行・〇〇支店・普通〇〇〇〇)へ振込にて支払う。」
1ヶ月分をまとめて翌月初旬に支払う形が、双方にとって管理しやすいケースが多いです。
ただ、都度払いを好む保護者もいるので、どちらにするかは事前の話し合いで決めておいてください。
金額についても、センター経由で時給2,000円の契約でも講師の手取りが半分程度になるケースがあることを考えると、個人契約での報酬設定は双方がより納得しやすい数字になります。報酬額は合意した数字を明記するだけです。
ここに曖昧さを残す必要はないです。
振替ルールは「何日前までに連絡か」だけでなく「誰が代替日を提案するか」まで明記する
振替についての記載で多くの人が不完全なまま終わらせるのが、「キャンセルの連絡期限は書いたけど、代替日の提案をどちらがするかを書いていない」という状態です。
「授業のキャンセルは〇日前までに連絡する」と書いても、キャンセル後に誰が動くのかが書かれていないと、保護者も指導者も「向こうが提案してくるだろう」と思いながら時間が過ぎてしまいます。
- キャンセル連絡の期限
- 振替の有無(する・しない)
- 代替日の提案者は誰か
- 振替の期限(何週間以内か)
- 報酬の扱い(振替なしでも発生するか)
「振替は行うが、代替日の提案は保護者側が1週間以内に連絡する」という形で書いておくと、お互いの動きが明確になります。この1行で、気まずいやり取りがかなり減りますよ。
連絡期限の「前日まで」と「当日朝まで」では全然違ってくる
振替ルールを書くとき、キャンセル連絡の期限を「前日まで」にするか「当日の〇時まで」にするかで、実際の運用がかなり変わります。小・中学生の場合、体調不良による当日キャンセルも珍しくないため、「当日の授業開始時刻〇時間前までに連絡」と書いておくと現実に合ったルールになります。
「前日まで」と書いてしまうと、当日の急なキャンセルへの対応が宙ぶらりんになってしまうので、注意してください。
途中解約の条件は曖昧にしておくほど、あとで気まずくなると気づく
「信頼していたんだから、いつでも辞めていいよ、という感じでいいか」——実はここが、個人契約で最もトラブルになりやすい場所の一つです。
解約時の記載に必要なのは「何日前までに解約の意思を伝えるか」「最終授業日以降の月謝は発生するか」「中途解約時の未受講分の精算方法」の3点です。
- 解約の予告期間(例:1ヶ月前)
- 最終授業の確定日
- 未受講分の精算ルール
- 解約の意思表示の方法
実際に「1ヶ月前予告」と書いておくだけで、突然「今月で終わりにしたいんですが」という連絡が来たときに、お互い落ち着いて対応できます。
逆に何も書いていないと、「どうするんだろう」という空気の中で最終授業を迎えることになります。
3ヶ月ごとに契約を更新する形も選択肢として考えられますが、毎回更新のやり取りが発生するので、継続前提であれば「解約申し出がなければ自動継続」と明記する方が実務的には楽です。
解約後の個人情報の扱いについても一文あると安心できる
解約条件を書くとき、「契約終了後の連絡先情報の扱い」に触れている人は多くありません。指導を通じて知った子どもの成績情報・学校名・家族構成などについて、「契約終了後は目的外に使用しない」という一文を入れておくと、保護者からの安心感が違います。
これを名付けるとしたら「退出後の情報ルール」とでも言えばいいでしょうか——要するに、関係が終わった後のことまで書いておく習慣です。
個人契約書をWordで自作した文書が、トラブルを防ぐ状態になっているか確認しておく
作り終わったあとに確認してほしいことが3つあります。
ここは短くいきます。
双方の署名・日付・2部保管の有無を最終チェックする
どれだけ丁寧に項目を書いても、署名と日付がなければ「いつ何を合意したか」の証明になりません。
個人契約書は2部作成して、保護者と指導者がそれぞれ1部ずつ保管するのが基本です。署名は自筆で、捺印は任意ですが、あると信頼感が増します。
- 保護者の署名・捺印
- 指導者の署名・捺印
- 契約日の記載
- 2部作成・各1部保管
署名なしで印刷だけして「これが契約書」とするのは、片方が内容を否定したときに根拠が薄くなります。面倒でも、この工程を省かないでください。
「口頭で合意済み」の内容が文書に落ちているか読み返す
契約前の打ち合わせで「まぁ、そのへんは融通しますよ」「テスト前は多めにお願いします」という口頭のやり取りがあった場合、それが契約書に入っているか確認が必要です。
口頭の合意は、どちらかの記憶が変わった瞬間に「そんな話はしていない」になります。
口頭で決まったことには一定の型があって、文字にできるものはすべて文字にしておく、という意識で読み返してみてください。
「特約」として末尾に追記する形でも問題ないです。「双方の合意により、〇〇については以下の通りとする」という文言で追加するだけで十分機能します。
子どもの個人情報の取り扱いについて一文入れてあるかどうか
家庭教師の契約では、指導者が子どもの個人情報(学校名・成績・受験校など)を知る立場になります。
この情報を「指導目的以外に使用しない」「第三者に提供しない」という一文が入っているかどうかを確認してください。書いてあるかないかで実務がほとんど変わらなくても、保護者からの信頼度が違います。
オンライン指導の場合は、映像・音声の取り扱いについても合わせて明記しておくと安心できます。
よくある質問
- 家庭教師の個人契約書をWordで自作する場合、印紙は必要ですか?
-
一般的な家庭教師の個人契約書は「継続的な役務の提供に関する契約書」に該当しますが、印紙税額が発生しないケースがほとんどです。ただし、高額な月謝を長期間にわたって契約する場合などは確認が必要なため、不安な場合は税務署や法務の専門家に確認することをおすすめします。
- 家庭教師の個人契約書を自作するとき、Wordのテンプレートはそのまま使えますか?
-
そのまま使えるものはほとんどないと考えておいた方がいいです。雛形は出発点として活用し、指導形式(対面・オンライン)・支払い方法・振替ルール・解約条件などを自分たちの状況に合わせて書き直す必要があります。特にオンライン指導の場合は、既存テンプレートに不足する項目が多いので注意してください。
- 個人契約書がなくても、家庭教師の契約はできますか?
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法的には口頭でも契約は成立しますが、トラブルになったときに「言った・言わない」の水掛け論になりやすいです。報酬の金額や振替ルールを口頭のみで決めていたケースでは、解約時や長期欠席時に揉めることが珍しくありません。Wordで自作したものでも、署名と日付があれば十分な抑止力になります。
- 個人契約書のWordファイルは、どのくらいの量を書けばいいですか?
-
A4用紙1〜2枚程度が目安です。長ければいいわけではなく、「誰が・何を・いつ・いくらで・どう解約するか」が明確に書かれていれば、それで機能します。条文番号を振って書式を整えると、双方が確認しやすい文書になります。
- 家庭教師の個人契約でよくあるトラブルを教えてください。
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最も多いのは「支払いの遅延・未払い」「振替の取り決めがなかったことによるすれ違い」「急な解約と未受講分の精算」の3パターンです。いずれも契約書に具体的なルールが書かれていれば、ほとんど防げます。
最初に詰まった3つが解決すると、Wordの契約書は30分以内に完成できる
家庭教師の個人契約書をWordで自作するとき、詰まる場所はほぼ決まっています。
「何を書けばいいかわからない」「テンプレートが多すぎる」「法的に有効か不安」——この3つが解消されると、あとは埋める作業になります。
ただ正直なところ、「30分で完成」はあくまでも目安です。双方の合意内容が事前に整理されていれば30分で十分ですが、打ち合わせしながら同時進行で書く場合は、もう少し時間がかかることもありますよ。
項目を埋めながら相手と認識を合わせる作業として使えるようになる
一度「契約書は合意確認のためのツール」という見方に切り替えると、作業の体感が変わります。
Wordのファイルを開いて項目を一緒に埋めながら、「ここはどうしますか?」「これはこういう理解でいいですか?」と確認していく。そのやり取り自体が、契約書の内容を作る作業になります。
「大学生の先生とわざわざ契約書を作るのも大げさかな」と思う保護者もいますが、書くこと自体の目的は「正式な書類を作ること」ではなく「お互いの認識を揃えること」です。その視点で使うと、契約書はかなり実用的なツールになります。
一度作ったWordファイルは次の契約でそのまま使い回せる形にしておく
最初に作ったWordファイルは、次の契約でも使える形に整理しておくと後が楽です。
固有情報(氏名・金額・日時など)を差し替えやすいように、「□□」や「〇〇」という記号で空欄にしておくか、表形式にしておくと再利用しやすくなります。
個人契約で指導を続けていくと、兄弟の指導依頼や紹介が来ることもあります。そのときに「先日使ったWordファイルをそのまま使えた」という状況を作っておくと、次の手間がかなり減ります。
完璧な契約書でなくても、書かれていない状態より格段にマシです。まず1つ作ってみてください。
それが次の契約書の雛形になります。


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