薬剤師の副業として塾講師はありか、と調べ始めたとき、何を不安に思っていますか?「専門知識は使えそうだけど、自分に教える仕事は向いているのか」という漠然とした疑問を持っている薬剤師は少なくないんです。
この記事では、塾講師の副業に興味がある薬剤師に向けて、関わり方の選択肢と、実際に始める前に知っておくべき判断軸を整理しました。
全員に合う答えはないですし、合う合わないは必ずありますが、選択肢の全体像を見てから判断した方が後悔が少ないです。
薬剤師の副業として塾講師が選ばれている背景を整理しておく

そもそも、なぜ薬剤師が「教える仕事」に目を向けるのか。そこから整理しておかないと、向いているかどうかの判断もできないと言えます。
「教える仕事」への関心が薬剤師に広がっている
薬剤師という仕事は、患者への服薬指導や医師へのフィードバックなど、日常的に「説明する」場面がある職種です。
調剤薬局で10年、ドラッグストアで数年というキャリアを重ねていると、ある時点で「自分が積み上げてきた知識、もっと別の場で使えないか」と考え始める人が出てきます。
副業という選択肢が社会的に認知されるようになったことで、薬剤師国家試験の知識や化学・生物の素地を活かして「教える側」に立てないか、と考える人が増えているのは自然な流れです。
- 服薬指導で説明経験が積める
- 化学・生物の専門知識がある
- 薬学部6年間の学習経験がある
- 資格試験の合格ノウハウを持つ
こういった素地が、塾や予備校の「教える仕事」と接点を持ちやすくしているんです。
ただ、「知識がある」と「教えられる」は別の話でもあります。それは後で触れます。
調剤・ドラッグストア以外の選択肢を探し始めるタイミング
薬剤師の平均年収は550〜600万円前後とされています。
数字だけ見れば悪くない。
でも薬学部に6年間通って国家試験に合格し、現場で日々勉強を続けているという事実を重ねると、「もう少し違う形で稼げないか」という感覚が出てきても不思議じゃないです。
手取りにすると月25〜35万円前後というのが現実的なラインの薬剤師も多く、都市部で生活費を引いていくと余裕はそれほど大きくないです。
「副業を始めたい」と思うのはむしろ当然で、その中で「調剤の掛け持ちやドラッグストアのパートじゃなく、もう少し違う仕事をしたい」という気持ちから塾講師の副業が候補に上がるんです。
塾講師が副業として成立するかどうかの判断軸
結論から言うと、薬剤師の副業として塾講師は「関わり方を選べば」十分成立します。
ただ、条件なしに「おすすめ」とは言えない。判断軸は3つあります。
- 週に使える時間が確保できるか
- 教えること自体に抵抗がないか
- 求人の単価と通勤コストが釣り合うか
この3つが揃っていれば、副業として機能します。
逆に言うと、1つでも大きくズレていると「思ったより割に合わない」という感覚になりやすいです。それぞれの詳細は後述しますが、まず選択肢の種類を把握してから考えた方がイメージしやすいです。
薬剤師が塾講師の副業で関われる4つの選択肢がある

「塾講師」と一口に言っても、薬剤師が関われるフィールドは複数あります。
同じ「教える副業」でも、対象・場所・単価・必要なスキルがかなり違うので、整理しておきます。
| 医療系予備校 | 高校生向け個別指導 | 登録販売者対策 | オンライン家庭教師 | |
|---|---|---|---|---|
| 対象 | 薬学部生 | 高校生 | 社会人 | 幅広い |
| 時給目安 | 3,000円〜 | 2,000〜3,000円 | 3,000円〜 | 2,000〜3,500円 |
| 薬剤師知識の活用 | 理系科目のみ | 科目次第 | ||
| 在宅対応 | 条件付き | 条件付き |
薬学部・医療系予備校の国家試験対策講師
薬剤師の専門知識が最もダイレクトに活かせるのがこのポジションです。
薬剤師国家試験対策の予備校や、薬学部生向けの個別指導塾は、現役の薬剤師であること自体が大きなアドバンテージになります。「試験に受かった人」として話す内容は、学生にとっての信頼性がまったく違うんです。
求人は時給3,000円以上のものが多く見られますが、母数はそれほど多くありません。
コマ単位での勤務や週2〜3日から始められる求人が多いので、本業との調整がしやすいという点では副業向きです。
ただ、薬剤師国家試験の知識と「今の薬学生に伝わる説明」は別物です。自分が受かった試験内容を「教えられる言葉」にする作業が必要で、ここに時間がかかる人もいます。
高校生向け理科(化学・生物)の個別指導・集団授業講師
薬学部出身であれば、高校化学や生物の内容はほぼカバーできます。個別指導塾での理科担当として入るのは、比較的ハードルが低い選択肢です。
求人数は医療系予備校よりも多く、近くの塾で見つかることが多いです。時給は2,000〜3,000円のレンジが多く、経験や対象学年によって変わります。
ここで正直に言うと、この選択肢は「薬剤師の専門知識をフル活用する」というよりは「理系大卒の人間として教える」という色合いが強いです。薬剤師免許が直接加点になるわけではなく、化学が得意な社会人として扱われます。
それが合う人にとっては「本業から距離を置ける副業」として気分転換になりますし、合わない人には「専門性を活かせていない」と感じるかもしれません。
- 薬学部の化学知識が使える
- 個別指導は1コマから入りやすい
- 近隣で求人が見つかりやすい
- 薬剤師資格の直接評価は低い
週1〜2回、土日だけ入るという働き方がしやすいので、本業が平日フルタイムの薬剤師には時間的に合いやすいです。
登録販売者・医療事務向け民間資格対策の講座講師
薬剤師の知識が最も「差別化要因」になりやすいのが、実はこの分野かもしれません。
登録販売者向けの資格対策講座は、OTCの医薬品知識を持つ薬剤師が教える側に立つことで、テキストの読み合わせじゃない「実務に即した説明」が提供できます。受講者は社会人が多く、「実際の薬局でどうなっているか」という視点を求めている人も少なくないです。
オンラインや動画講座の形式で提供しているスクールも増えているので、場所を選ばずに関われる可能性があります。
ただし、この分野の求人は市場に少なく、スクール側から声がかかるより自分で探すか、または売り込みに行く必要があります。
最初の一歩のハードルは少し高いです。
オンライン家庭教師・自分でコース設計できるスクール形式
上記の候補に加えて、「一般的な塾や予備校に属さず、個人でコースを作る」という形もあります。オンライン家庭教師サービスを使うか、自分でコースを設計して集客する方法です。
ここだけの話、この選択肢は自由度が一番高い反面、「仕事として安定するまでの時間がかかる」というリスクもあります。すぐに収入が欲しい場合は、既存の塾や予備校経由の方が話が早いです。
一方で、将来的に「独立して教える仕事を本業にしたい」という展望がある人には、スキルと実績を積む場として機能します。副業として始めながら自分のスタイルを探せる形です。
塾講師の副業を選んだ薬剤師が直面しやすい現実がある

「始めてみたら思ったのと違った」という感覚は、どの副業でも起こります。塾講師の副業の場合は、特定のパターンで起きやすいので先に把握しておいた方がいいです。
薬剤師国家試験の知識と「高校生に伝わる説明」は別スキルだとわかる
知識があっても「教えられる」かどうかは別の話です。
これ、当然のように聞こえますが、実際に教壇に立ってみると実感の重さが違います。
たとえば、薬の相互作用のメカニズムをすらすら説明できる薬剤師でも、高校生に有機化学の反応式を教えようとすると「どの言葉が分からないのか分からない」状態になることがあります。
問題を解かせてみると、自分が当たり前だと思っていた前提知識を持っていない、ということに気づく場面がよくあります。
これは失敗じゃなく、最初は誰でも通る道です。ただ、最初の数コマは「教えることの難しさ」に慣れる期間として割り切る必要があります。
時給単価・コマ数・交通コストのバランスが想定とズレていく
時給3,000円以上と聞くと魅力的に見えます。でも計算してみると、想定より手残りが少ないケースがあります。
- 交通費支給なしの求人もある
- 準備時間は無給になりやすい
- コマ単位なので月収が安定しない
- 授業前後の待機時間が発生する
特に「授業の準備時間」は見落とされがちです。1コマ90分の授業のために1〜2時間かけて教材を作ると、実質的な時給は半分近くになることがあります。
準備が慣れてきて初めて「元の単価」に近づく、というイメージです。
本業との曜日・時間帯の競合が起きやすい
調剤薬局や病院薬剤師の場合、平日は本業が入っているので塾の副業は土日か平日夜になります。問題は、塾側も同じ時間帯を求めているケースが多いことです。
個別指導塾の需要は土曜の午後や日曜に集中しやすく、集団授業は平日夕方〜夜が多い。ドラッグストア勤務で土日出勤がある薬剤師には、曜日の競合が起きやすいです。
正直、ここは事前にシミュレーションせずに始めると「月に数回しか入れない」という状況になることがあります。求人に応募する前に、自分の月間カレンダーを一度書き出しておくことをすすめます。
薬剤師が塾講師の副業を始める前に確認しておくこと
やりたい気持ちが固まったとしても、始める前に確認しておくべきことがいくつかあります。ここを飛ばすと後から面倒なことになりやすいです。
就業規則と公務員・管理薬剤師の副業規定を先にチェックする
副業を始める前に最初に確認すべきは、勤務先の就業規則です。これは塾講師に限らず、すべての副業に共通します。
調剤薬局や病院によっては、副業を原則禁止または事前申請制にしているところがあります。
特に管理薬剤師の立場にある場合は、薬事法上の兼業制限の問題も絡んでくるので注意が必要です。
公務員薬剤師(市立病院・保健所など)は原則として副業が制限されているので、塾講師であっても承認なしに始めることはできません。
「バレなければいい」という考え方は、住民税の天引き額の変動などから職場に気づかれることがあります。
副業が発覚した場合のリスクを考えると、就業規則の確認と必要に応じた申請が先です。
年間所得と確定申告の発生ラインを把握しておく
副業収入が年間20万円を超えると確定申告が必要になります。塾講師として月に数コマ入る程度でも、積み上がると超えることがあります。
確定申告の手続き自体は難しくないですが、やったことがない場合は最初の年に少し手間がかかります。副業を始める前に、税務処理の方法を大まかに把握しておくと慌てずに済みます。
また、副業収入を「雑所得」として申告する際、経費として計上できる項目(教材費・交通費・通信費など)を把握しておくと手残りの計算が正確になります。
自分の「関わり方タイプ」と目標収入額が一致しているか見極める
4つの選択肢を整理してきましたが、「どれが正解か」より「自分の目標と合っているか」の方が大事です。
月に数万円のプラスが目的なら、近くの個別指導塾で週1〜2回入るのが現実的です。「教えることを本格的に副業にしたい」なら医療系予備校や登録販売者向け講座の方が専門性を活かしやすいです。
目標収入額と関わり方タイプが一致していないと、始めてみてから「なんか違う」という感覚になります。最初に「月いくら稼ぎたいか」を具体的に決めておくと、選ぶべき選択肢が自然と絞られます。
塾講師の副業が「おすすめ」かどうかは条件付きだという話
上位サイトでは薬剤師の副業として塾・予備校講師は「おすすめ」と書かれていることが多いです。実際、時給3,000円以上の求人が見られる点や、コマ単位で始めやすい点は本当のことです。
ただ、「専門知識を活かしたい」という理由だけで選ぶと、想定とズレることがあります。
特にこんな状況の人には、塾講師よりも別の副業の方が合っている場合があります。
- 土日も本業が入っている薬剤師
- 人に教えることが苦手な薬剤師
- すぐに安定収入が欲しい薬剤師
- 在宅で完結させたい薬剤師
在宅で副業をしたい薬剤師には、メディカルライターや医薬品の監修の方が向いていることがあります。Webメディアの記事監修は1本あたり3,000〜15,000円の案件も存在し、場所を問わず関われます。
塾講師は「教える場所に行く」ことが前提なので、その点は最初から分かっておいた方がいいです。
候補として「オンラインでの勉強教室を個人開業する」という形も考えられますが、集客から始める必要があり、すぐに収入に結びつきにくいため今回の主要な選択肢としては外しました。ある程度の期間をかけて育てる副業として位置づけるなら、選択肢に入ります。
どの関わり方が自分に合っているかは目的から逆算して決まる
関わり方の選択肢は出そろいました。
あとは「自分の目的と状況に照らして、どれを選ぶか」の話です。
収入優先なら医療系予備校・高単価コマ数が少ない選択肢を選ぶ
「とにかく時給を高くしたい」という場合、医療系予備校や薬剤師国家試験対策の講座が有力です。
時給3,000円以上の求人が見られる分野であり、コマ数が少なくても月収に影響が出やすいです。
ただし、求人数が多くないため、見つかるまでに時間がかかることがあります。
「すぐに副業収入が欲しい」という緊急性が高い場合は、まず調剤薬局のパート・派遣から始める方が確実です。時給2,200〜3,500円のレンジで求人が多く、薬剤師免許があればすぐに始められます。
塾講師より即効性があります。
正直に言うと、「早く稼ぎたい」という目的と「塾講師の副業」は、必ずしも相性がいいわけではないです。塾講師は軌道に乗れば安定する副業ですが、最初の数ヶ月は準備コストがかかります。
スキルアップ・将来の独立が目的ならオンライン形式で始める
「将来的に独立して教える仕事をしたい」「薬剤師の知識を使って別のキャリアを作りたい」という目的がある場合は、オンライン形式から始めるのが一番合っています。
既存の塾に属するより自由度が高く、自分のコース設計や価格設定を試しながら「教える仕事としての自分のスタイル」を探せます。収入の安定に時間がかかるのは事実ですが、将来の選択肢を広げるための投資として考えるなら意味があります。
ここは正直、判断が分かれるところです。副業を「今の収入のプラス」として考えるか、「将来のキャリアの布石」として考えるかで、選ぶべき形がまったく変わります。
無理なく続けるための副業選びは「週に使える時間」から決まる
塾講師の副業を「続けられるか」を決める最大の変数は、実は熱量でも知識量でもなく、「使える時間」です。
週に2〜3日入れる時間がある人と、週末の半日しか空いていない人では、選べる関わり方がまったく違います。
- 週末半日のみ:個別指導塾がおすすめ
- 平日夕方も可能:集団授業も検討できる
- 在宅時間が多い:オンライン形式が合う
- 時間が不規則:コマ単位制が助かる
塾の副業で失敗するパターンのひとつは、「入れる日に全部入ろうとして本業に支障が出る」というものです。週に使える時間を先に決めてから、その枠に収まる形を選ぶ方が長続きします。
よくある質問
- 薬剤師の副業として塾講師の時給はどのくらいですか?
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分野によって異なりますが、高校生向け個別指導は時給2,000〜3,000円、薬学部・医療系予備校の国家試験対策は時給3,000円以上の求人が多く見られます。ただし、授業準備の時間は無給になることが多いため、実質的な時間単価は低くなる場合があります。
- 薬剤師が塾講師の副業をするのに、特別な資格や経験は必要ですか?
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塾講師自体に法的な資格要件はありません。薬剤師免許は医療系予備校や登録販売者向け講座では強みになりますが、高校生向け個別指導では理系大卒としての知識が評価される形です。教員免許は必須ではありませんが、持っている場合は加点材料になることがあります。
- 薬剤師が副業で塾講師をすると職場にバレますか?
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副業収入が年間20万円を超えると確定申告が必要になり、住民税の徴収額の変動などから職場に気づかれることがあります。勤務先の就業規則で副業の事前申請が必要な場合は、あらかじめ確認・申請しておくことが必要です。
- 塾講師の副業はコマ単位で始められますか?
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個別指導塾や予備校ではコマ単位や週2〜3日から始められる求人が多く、副業として調整しやすいです。ただし、集団授業は曜日・時間が固定されることが多く、本業との時間帯が重なるケースがあるので確認が必要です。
- 薬剤師が塾講師の副業に向いているかどうか、どう判断すればいいですか?
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「人に説明するのが苦ではない」「週に数時間の空き時間がある」「すぐに安定収入でなくてもいい」という3つが揃っていれば、向いていると判断してよいと思います。逆に在宅で副業を完結させたい場合は、メディカルライターや監修業務の方が合っている可能性が高いです。
まとめ:塾講師の副業、薬剤師に向いているかどうかの判断基準
薬剤師が塾講師の副業を選ぶかどうかは、「知識があるから教えられる」という発想より、「どの形で・週に何時間使えるか」という現実の枠から考える方が失敗しにくいです。
医療系予備校や登録販売者向け講座のように、薬剤師の専門性が直接価値になる選択肢がある一方、高校生向け個別指導のように「理系人材」として関わる形もあります。どちらが正解かは、目的によって変わります。
「始めてから合わなかった」という状況を防ぐためにも、就業規則の確認・週に使える時間の棚卸し・目標収入額の設定を先にしておくことをすすめます。副業は選んでから準備するよりも、準備してから選ぶ方が後悔が少ないですし、続きやすいです。
どれがベストかはここで断言できませんが、この記事で整理した4つの選択肢と判断軸が、最初の一歩を踏み出すときの参考になれば十分です。


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