英語の教え方に悩む塾講師として、授業中に生徒の顔が曇っていくのを見た経験はありませんか。説明は丁寧にしているつもりなのに、何かが噛み合っていない。
そういう感覚、珍しくないんですよ。
指導法の本を読んで試してみても、なかなか手応えが返ってこない。生徒との関わり方に何かヒントがあるかもしれない、そう感じている方に向けて書きました。
特に、文法の説明は自信があるのに生徒の反応が薄い、という場面で行き詰まっている講師の方には参考になると思います。
英語の教え方に悩む塾講師が見落としている、授業がうまくいかない本当の原因がある

授業が終わった後、なんとなくもやもやする感覚を覚えることはありませんか。
説明した内容は間違っていないし、例文も丁寧に出した。でも生徒の表情はどこかぼんやりしていた。
「分かりましたか?」と聞けば「はい」と返ってくる。なのに次の週には白紙で戻ってくる。
この繰り返しの中で、多くの講師が「自分の教え方が悪いんだ」と思い始めます。でも、そこがそもそも出発点のズレだったりするんですよ。
文法を丁寧に説明しているのに生徒の顔が曇っていく
現在完了の説明をしていて、生徒の目がだんだん遠くなっていく。あの瞬間の感覚、覚えがある方は多いはずです。
「現在完了は過去のある一時点から現在までの内容を表す」という説明は、文法的に正確です。
でも、この一文がそのまま中学生の頭に入るかというと、そうじゃない場合がほとんどです。
問題は説明の正確さではなく、その説明が生徒の「今の状態」に届いているかどうかなんです。
- 説明が長くなっている
- 例文が教科書通り
- 生徒の反応を見ていない
- 理解確認が「分かった?」だけ
- 一度に教える量が多い
どれか心当たりがある場合、教え方の問題より先に「届け方」を変える方が早いです。生徒が曇っていくのは、情報量の問題であることがとても多いです。
「わかった」と言った生徒が次の週には忘れている
授業中に「分かった」と言ったのに、翌週にはきれいに忘れている。
これ、記憶力の問題だと思いがちなんですが、実は違います。その場で「分かった気になった」だけで、自分の言葉で説明できる状態にはなっていなかった、ということが多いんです。
理解と定着はまったく別物です。
ここを混同してしまうと、いくら丁寧に教えても「抜けていく授業」になってしまいます。
要は、定着とは「生徒が自分で取り出せる状態」のことです。それを作らないまま次の単元に進んでいくと、積み上げがどこかで崩れます。
教え方ではなく、関わり方のズレが授業の質を下げていると気づく
塾講師として20年以上の経験を持つ指導者の話を聞く機会があります。その中で共通して出てくる言葉があって、「結局、生徒との関係性で授業の質が決まる」というものです。
これ、最初に聞いたときは少し抽象的すぎると思いました。でも指導の現場でいろいろな事例を見ていくうちに、考えが変わってきました。
生徒が「この先生には正直に言える」と感じている場合と、そう感じていない場合とでは、まったく授業の進み方が違うんです。前者の生徒は「わからない」と言えるし、後者の生徒は「わかった」と言って心を閉じます。
関わり方のズレは、指導技術の問題より根が深い。
そこに気づくかどうかで、授業の質がまるで変わってきます。
英語が苦手な生徒に共通して起きている「理解のつまずき構造」を整理しておく

英語が苦手な生徒を一括りにしてしまうと、対応が的外れになります。
つまずいている場所が違えば、アプローチも変わってくる。これは言葉にすると当たり前のようですが、授業中に毎回判断できているかというと、意外とできていないことが多いんです。
単語・文法・読解のどこが崩れているかで対応がまるで変わってくる
英語の学習でつまずく場所は、大きく三つに分けられます。単語・文法・読解です。
この三つは連動しているようで、実際にはそれぞれ独立した問題でもあります。単語が読めないのに文法を教えても意味がないし、文法が曖昧なままで長文読解をやっても、ただの暗記作業になってしまいます。
- 単語が読めない
- 文の構造が見えない
- 長文で意味が取れない
- 設問と本文がつながらない
授業を始める前に、今日の生徒のつまずきはどこにあるかを確認する習慣を持つだけで、無駄な説明がぐっと減ります。
「わからない」を言えない生徒ほど、静かに授業から離れていく
教室が静かな授業が必ずしも良い授業かというと、そうじゃないことがあります。
「わからない」を言えない生徒は、静かに授業から離脱していきます。うなずきながら、実は5分前からついていけていない。
そういう状態で座り続けているんですよ。
この「静かな離脱」に気づけるかどうかが、英語の教え方を変える上での第一歩だと思っています。
正直、ここは判断が難しいところです。
生徒によって離脱のサインはまったく違うので、一律の判断基準は作れません。
ただ、「静かすぎる生徒」を放置しないというスタンスだけは持っていてほしいです。
苦手意識の根っこには、過去の失敗体験が繰り返し積み重なっている
英語が苦手な生徒の多くは、最初から苦手だったわけじゃありません。
ある時点から「できた・解けた」の感覚がなくなって、そのまま苦手意識が定着していくパターンが多いです。
テストで点が取れなかった、先生に指名されて答えられなかった、そういう体験が積み重なっています。
これを「記憶の傷」と呼ぶことにしますが、この傷がある生徒に対して同じ指導をしても、なかなか届かないんです。英語の文法を丁寧に教える前に、失敗体験への向き合い方を変えてあげる必要があります。
具体的には、失敗を「責める」から「分析する」に変えること。間違えたことではなく、なぜ間違えたかを一緒に考える姿勢が、生徒の苦手意識をじわじわと緩めていきます。
塾講師として英語の教え方を変えた先に、生徒との関係性も変わっていく

結論から言うと、生徒に発話させる機会を増やすことが、定着を高める上で最も効果が高いです。
説明に力を入れる授業から、生徒が口を動かす授業に切り替えていくだけで、週をまたいだ記憶の残り方がまるで変わります。
説明を減らして生徒に発話させると、定着度が一気に上がっていく
講師が話す量を減らすのは、最初は怖さを感じます。「これで本当に伝わるのか」という不安が出てくるんです。
でも試してみると、生徒の反応が変わってくることが分かります。
たとえば、不定詞の副詞(的)用法を教える場面を想像してください。講師が説明するより先に、生徒に「この文、なんで to があると思う?」と聞いてみる。
答えられなくても構わないんです。その問いかけ自体が、生徒の脳を動かします。
- 例文を読ませる
- 意味を予測させる
- 自分の言葉で説明させる
- 別の例を挙げさせる
全部やらなくていいです。一つだけでも取り入れるだけで、授業の手触りが変わってくると思います。
一単元を深く扱うより「小さい成功体験」を連続させた方が伸びる
教える内容を一回の授業で2〜3個に絞り込む、という話を聞いたことがある方も多いはずです。
正直、最初はそれで本当に間に合うのかと懐疑的でした。でも、実際にやっている講師の授業を観察すると、生徒の手が動いている場面が明らかに多かったんです。
「できた・解けた」の瞬間を授業中に何度も作ること。それが英語への苦手意識を薄れさせる、一番地道で一番確実な方法だと思っています。
一方で、「教えることに対しての熱量」が高い講師ほど、一度に詰め込みすぎてしまう傾向があります。
熱量があるのは武器なんですが、それが生徒のキャパシティを超えてしまうと逆効果になることもあります。
生徒自身が「できた」と感じる瞬間を設計することが授業の核心だ
授業を設計するとき、何を「ゴール」に置いていますか?
多くの場合「テストや受験で点数を取れるようにする」がゴールになっていますが、週次の授業単位でいうと、もう少し手前にゴールを置いた方がうまくいきます。
- 今日解けなかった問題が解けた
- 先週忘れた単語を思い出せた
- 自分で説明できた
この粒度の「できた」を授業ごとに積み上げていくことが、長期的な英語力の伸びにつながります。小さい成功体験の連続が、生徒にとっての「自己ベスト更新」になるんです。
明日の授業から取り入れられる、関わり方の具体的な組み立てがある
ここはシンプルにいきます。理論より先に、明日からできることを整理します。
難しいことは一つもないですし、特別な準備も要りません。関わり方の習慣を少し変えるだけです。
授業冒頭の3分間で生徒の状態を確認しておく
授業を始める前に、生徒が「どんな状態で来たか」を確認する時間を作ってみてください。
学校でテストがあった日、部活で疲れている日、家でもめごとがあった日。
そういう状態の生徒に同じテンションで授業を始めても、なかなか乗ってこないのは当然です。
- 今日の気分を一言で聞く
- 前回の授業で気になったことを聞く
- 学校での英語の出来事を聞く
3分でいいんです。
この3分が、その後の45分の質を変えます。生徒が「この先生は自分の状態を見てくれている」と感じるだけで、授業への構えが変わります。
「今日、学校どうだった?」の一言が持つ力は大きい
たった一言の問いかけが、生徒との距離をぐっと縮めることがあります。英語の話ではなく、日常の話から入るだけで、生徒がリラックスして授業に臨める状態になります。
特に英語が苦手な生徒は、授業前から少し緊張していることが多いです。
その緊張を解くのが、最初の3分間の役割だと思っています。
前回の内容をひと言で言わせる習慣が定着の速さを変えていく
「先週何やったか、覚えてる?」という問いかけを毎回の冒頭に入れてみてください。
最初は「忘れた」と言う生徒がほとんどです。でもこれを続けることで、生徒は「次回聞かれるかも」という意識が生まれてきます。
それだけで、家での復習の仕方が変わっていくんです。
- 先週の文法を一言で言う
- 自分の言葉で例文を作る
- 覚えていない部分を正直に言う
「覚えていない部分を正直に言える」環境が整っているかどうかが、ここでのポイントです。
責めずに一緒に確認するスタンスを取り続けることで、生徒が正直に状態を出してくれるようになります。
「言えなくてもいい」という前提が、安心して話す空気を作る
毎回答えられることを期待するより、「答えようとしてくれればいい」という空気を作ることの方が大事です。間違えても笑わない、忘れていても責めない。
その積み重ねが、生徒にとっての「この教室は安全だ」という感覚につながっていきます。安心できる環境の中でしか、本当の意味での学習は起きないと思っています。
「なぜ間違えたか」を一緒に言語化すると、同じミスが激減していく
テストや宿題を返すとき、多くの場合「ここが違ったね」で終わっていませんか。
もう一歩踏み込んで「なぜ間違えたか」を一緒に言葉にしてみることで、同じミスがかなり減ります。
これ、やってみると地味に効くんですよ。
- 問題の意味を誤解した
- 単語は知っていたが使い方を知らなかった
- 文の構造を見誤った
- 時制を考えていなかった
間違いの「種類」を言語化できると、次に同じ状況に遭遇したときに自分でブレーキをかけられるようになります。これが、講師が横にいなくなってからも機能する力です。
間違いの「種類」を分けるだけで、生徒自身が自分の弱点を把握できるようになる
凡ミス・理解不足・知識不足、この三つに分けるだけでも十分です。生徒が自分の間違いを分類できるようになると、「同じ凡ミスをまたした」という認識が生まれます。
それが「次こそ気をつけよう」という意識に変わっていきます。意外とシンプルな話ですが、これをやっている授業とやっていない授業では、テストの点数の安定感が違ってきます。
信頼関係が先で、英語力はその後についてくる、という見方もある
ここで一度立ち止まって考えてほしいことがあります。
上位サイトの多くは「文法や長文読解の指導力が大事」「一人ひとりの理解度に合わせたコミュニケーションが大事」という視点で書かれています。これは正しいです。
ただ、すでに指導法の工夫をいろいろ試してみたが変わらない、という講師の場合は、少し違う角度から見た方がいいかもしれないんですよ。
指導法より先に、生徒が「失敗していい場所」と思えるかどうかが鍵になる
英語のコーチングが高額でも選ばれる理由の一つに、マンツーマンで安全に失敗できる環境がある、という点があります。
採用率0.3%のプロコーチによるマンツーマン体制が強調される背景には、「誰かに見られながら失敗できること」の価値があるんだと思います。
塾の授業でも同じことが言えます。文法の知識を持っていても、それを使うことへの恐怖感が強い生徒は動けません。
指導法の問題より先に、「この場所では失敗していい」という空気を作れているかどうかを確認してみてください。
もちろん、全員にこれが当てはまるわけじゃないです。すでに関係性が十分に築けていて、それでも指導法を変えたい場合は、次のステップに進んでいいと思います。
「自分に合わないスタイル」を続けることの消耗に気づいてほしい
塾講師として英語を教えていて、なんとなく「自分らしくない」と感じる瞬間はありませんか。
集団指導が苦手なのに集団向けの授業スタイルを続けていたり、個別指導が好きなのに教材の進め方を一律に合わせていたり。「自分に合わないスタイル」を続けることは、じわじわと消耗していきます。
- 授業後の疲れ方が増えた
- 生徒の反応が気になりすぎる
- 準備にかかる時間が長くなった
- 自分の指導に確信が持てない
消耗が続くと、生徒との関わりの質も落ちていきます。スタイルを変える前に、「何が自分に合っているか」を一度整理してみることも大事です。
「型」から入るより「自分の強み」から入る方が、生徒に伝わりやすい
誰かの指導スタイルをそのまま真似しようとすると、どこかぎこちなくなります。生徒はそのぎこちなさを敏感に感じ取るんですよ。
自分が得意な伝え方、自然に使える例え、好きな教え方を土台にした方が、生徒に届きやすいです。
型は後から身についてくるものであって、最初に型を決めてそこに自分を当てはめようとすると、むしろうまくいかないことが多いです。
英語の教え方に悩む塾講師ほど、一歩踏み出した後に手応えを感じている
授業の質を上げようと悩んでいる講師は、すでに「現状のままでいい」とは思っていないんですよ。それ自体が、変わるための出発点になっています。
指導の軸が定まると、授業準備にかける時間も短くなっていく
授業準備に時間がかかりすぎている場合、原因の一つは「何を伝えるか」が毎回ぶれていることです。
指導の軸、つまり「この生徒にとって今一番大事なことは何か」が定まると、教材選びも問題選びも迷わなくなります。結果として、準備時間は短くなっていきます。
- 生徒の現状を把握する
- 今週のゴールを一つ決める
- 教える内容を絞り込む
- 定着確認の方法を決める
やることが明確になると、準備のスピードが変わります。授業のパターンが自分の中に蓄積されていくほど、同じ時間で準備できる授業の質が上がっていきます。
「今日伝えることは一つだけ」と決めた授業の方が、生徒が動ける
欲張って3つも4つも教えようとすると、授業の終わりに「全部なんとなく分かった気がするけど、何もできない」という状態になります。一つに絞ることは勇気がいりますが、生徒が「今日は関係代名詞を使って文が作れるようになった」と感じて帰る方が、長期的には積み上がっていきます。
生徒の変化が見えてくると、講師自身のモチベーションも戻ってくる
「従位接続詞って何ですか?」と質問してきた生徒が、翌週には自分で使えるようになっている。そういう場面に出会ったとき、講師として何か確かなものを感じる瞬間があるはずです。
生徒の変化は、ゆっくりやってきます。劇的に変わる週もあれば、全く変化を感じない週もある。
でも確実に積み上がっているはずなんです。
その変化に気づくためには、生徒をちゃんと「見ている」必要があります。
テストの点数だけを見ていると、変化を見落とします。発言の仕方が変わった、間違えた後の顔が変わった、質問の内容が変わった。
そういう細かい変化の方が、実は重要なサインです。
講師自身のモチベーションが落ちているとき、多くの場合は「手応えが感じられていない」状態です。手応えは待っていても来ない。
生徒の変化に気づく解像度を上げることが、その打開策になります。
よくある質問
- 英語の教え方に悩む塾講師は、まず何から改善すればいいですか?
-
授業の説明を減らして、生徒に発話させる機会を一つだけ増やすことから始めるのがおすすめです。指導法より先に、生徒が「分からない」と言える空気を作れているかを確認してみてください。
- 英語が苦手な生徒へのアプローチで、よくある失敗パターンはありますか?
-
一回の授業で教える内容を詰め込みすぎることが、一番多いパターンです。生徒の「できた」という体験を授業中に作れているかどうかに気をつけるだけで、授業の手触りが変わってきます。
- 英語の塾講師として、生徒との信頼関係を築くにはどうすればいいですか?
-
授業冒頭の3分間で生徒の状態を確認する習慣がうまくいきます。英語の話ではなく日常会話から入るだけで、生徒の緊張が解けて授業への構えが変わります。
- 英語の指導で、定着率を上げるために何ができますか?
-
「前回の内容をひと言で言わせる」習慣を取り入れてみてください。生徒が自分の言葉で説明できる状態かどうかが定着の基準になります。これを続けるだけで、復習の質が変わってきます。
- 英語の教え方に悩んでいても、資格や発音は必要ですか?
-
資格より、生徒との信頼関係を築きながら丁寧に関わることの方が優先度は高いです。個別指導であれば平均的な英語力があれば授業はできますし、むしろ「教えることへの熱量」の方が生徒に伝わります。
英語の指導で行き詰まったとき、変えるべきは「教え方」より「関わり方」かもしれない
英語の教え方に悩む塾講師が陥りやすい落とし穴は、「もっと良い説明の仕方を探すこと」に全エネルギーを注いでしまうことです。
もちろん、説明の技術は大事です。ただ、それより先に「この生徒は今どんな状態か」「安心して間違えられる場になっているか」「小さな成功体験を設計できているか」を確認することの方が、根っこに近い問いだったりします。
授業冒頭の3分間、発話の機会を一つ増やすこと、間違えた理由を一緒に言語化すること。
どれか一つだけ試してみてください。全部を同時に変えようとしなくていいです。
手応えは、ある日突然やってくることが多いです。3週間何も変わらなかった生徒が、ふと自分で文を作れた瞬間。
その場面に立ち会えるかどうかは、関わり続けることでしか見えてきません。
正解が一つではない仕事ですし、生徒によって合うアプローチは違います。だからこそ、悩み続けることは悪いことじゃないと思っています。
悩んでいる分だけ、生徒のことを見ているということでもありますから。


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