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塾講師として発達障害児を指導する難しさとやりがいを本音で語ります。

“発達障害”は、こどもの成長過程、学び、将来にとって、見逃すことのできない問題です。
誰しもが一度は耳にしたことがあるだろう“発達障害”。

発達障害は病気とはちがい、生まれ持った“脳機能の特性”です。

脳の発達・脳機能が通常とは違っているため、日常生活や社会生活の場、学校など学習の場で困難なことや苦手なことに直面します。

児童生徒の発達障害の種類・特性に適した、個々の指導法があります。
発達障害は、以下の3つに分けられています。

 

  • ASD(自閉症スペクトラム障害)
  • ADHD(注意欠如・多動性障害、衝動性)
  • LD(学習障害:読字・書字・算数能力)

 



そこで今回は、発達障害を持つ児童生徒への指導、仕事内容について、塾で挑んだケースを紹介しながら、発達障害を持つ児童生徒への指導の難しさとやりがいをお話ししたいと思います!

目次

学習塾で発達障害児指導をする際の注意点


仕事内容は、個々の生まれ持った発達障害の特性のちがいに応じた学習指導です。

率直に言いますと、医療機関ではないのでより本格的かつ高度な療育を実施することはできません。

しかし、児童生徒と保護者の学習意欲を尊重し、面談を重ね、学習分野や領域を決定していきます。


特性や症状の強さによって、ひとりひとりの学習指導法も変わってきます。

  • 学校からの宿題・課題・提出物
  • 校の授業の“復習”
  • 算数計算問題
  • ひらがな・カタカナ・漢字の反復練習

 

このような基本的な部分の学習指導。

児童生徒・保護者の希望に添った中学・高校受験の受験指導。

学習以外のコミュニケーション保護者との個人面談、児童生徒を含めた三者面談などの進路指導。

上記の3つの指導が、発達障害を持つ児童生徒指導の際の仕事内容となります。

 

ASD(自閉症スペクトラム障害)の場合の難しさ

コミュニケーションをとることが苦手なため、個人差はありますが、言葉の発達に遅れがあり会話がうまくできません。

当該児童生徒が何を思っているのか、何を伝えたいのかしっかりと読み取らなければなりません。目と目があまり合わないので、視線や眼力からのヒントも少なく難しいです。


学習日のメンタルによって、あいさつや呼びかけに全く反応がなく話さない日もあれば、一方的に話が止まらず問題プリントが進まないという日もあります

言葉を話すことは可能ですが、言葉を使って自分の気持ちを伝えたり、相手の気持ちや意図を読み取ることが苦手なため、分かってもらえないと苛立ちはじめ、自分の頭を自分でたたいたり感情のコントロールがとれず、塾での学習が完全に止まります。


この特性の現れ方や強さは、個人個人ちがいます。

そのため、塾内でのコミュニケーションを含む対人関係を調整することが難しく、変化に対する耐性がないので指導講師を固定し、算数・数学、ひらがな・カタカナ・漢字の反復練習を行います。

入塾時の面談で1回の学習時間を90分に設定し、その日その日の精神面・体調面を考慮しながら柔軟に学習を行うと取り決めました。


しかし、生徒の行動の中で入塾当初からルーティンが決まっており、入室して約10分間は教室内をぐるぐると歩き回り、掲示物を見続けるというものがありました。

学習を終え、帰宅する際も全く同じ行動をします。


必ず決まった机の場所とシャーペンと消しゴムじゃないと、感情のコントロールがきかなくなり癇癪を起こしてしまい学習に取り掛かることが難しくなります。


癇癪を起こした場合は、保護者から「事前にカバンの中にお気に入りのミニカーを入れているので、渡してください」とアドバイスを受けていたので、そのように応対します。

最初は、他の生徒からすると、中学生なのに急に泣いたり怒ったり、話しかけても反応がなく無視をされたとショックを受けることもありました。

このように、相手の気持ちや場の状況を読み、理解することが困難で誤解されてしまうこともあり、個々のコミュニケーションの独特な取り方を把握するのに慎重にならなければなりません。



生徒がADHD(注意欠如・多動性障害・衝動性)の場合


塾講師をしてきて3つのタイプの中で、ADHDの児童生徒の指導が1番多いです。

ADHDは、不注意・多動性・衝動性の3つの症状あります。


注意力や集中力が持続しないため、学習中にじっとして取り組むことが出来ず、話をしっかりと聞くことが難しいです。


忘れ物が多く、カバンの中の整理整頓が苦手なため、筆箱や下敷きは塾にワンセット予備を保管し、テキスト・プリントファイルなどを忘れていないか、プリントがカバンの中でくちゃくちゃになっていないか毎回いっしょに確認します。

また、落ち着きがなく常に手指や足を動かし、ソワソワしており、思い立ったら即行動するため学習中にもかかわらず教室内を歩き回ったりすることもあります。


当該生徒と同じ名前の生徒がいた際、友達同士で会話をしていたとき、自分のことを馬鹿にされたと勘違いしてしまい、反射的に文句を言いに攻撃的な言動をとることも多々あります。

その度に、落ち着かせて説明や話し合いをするため、学習をする時間がほとんどなくなってしまいます。

このように、年齢につり合わない言動が学習やコミュニケーションに支障をきたします。

しかし、基本的には勉強が全くできない訳ではないため、他の児童生徒からすると「勉強はできるのに何であんな風に怒ったり泣いたりするんだろう」と不安を招いてしまうこともありました。


攻撃的になる生徒は、症状を緩和する治療薬の飲み忘れが頻繁にあり、保護者が朝の薬を飲んだか否かの確認漏れも同時にありました。


保護者も、こどもが勉強ができない訳ではないからと、ADHDに対する真の理解がない場合もあり、生徒・保護者・塾の相互理解、共通認識が難しいです。




LD(学習障害)の場合


知的能力に問題はなく、聞く・話す・読む・書く・計算するという特定の能力に困難が生じます。

単独の場合もあれば複数の特性が組み合わさって現れる場合もあります。

  • ディスレクシア(読字)
  • ディスグラフィア(書字)
  • ディスカリキュア(計算・算数)

 

これらの学習障害は、見逃してしまうとただ勉強ができない人と誤解をされてしまう可能性があります。


この特性を持っている児童生徒は、学業成績や日常生活に困難が生じ、結果的に学習意欲を失い、学習離れが加速し自信喪失につながります。

一人ひとりの症状に合わせた指導を行うことが重要です。

実際、部活動では地区や県の代表になる実力のある生徒が在籍時、学習中の様子は自信がなくテキストを手で隠しながら問題を解くことがありました。


話を聞いてみると、中学生なのに小学生と同じかけ算問題を解いていることが恥ずかしい、部活の顧問の先生に「プレイは上手なのに勉強ができないのはもったいない、怠けるな」と言われたとのこと。


また、面談中に保護者の口から「小学生の弟の方が頭良いから、もう勉強は諦める。

運動で生きていけるかな」という言葉もありました。

家族や学校が、当該児童生徒の学習障害を正しく理解していないパターンも少なくなく、メンタル面のケアに集中を注ぎます。


個々の特性に適した指導を実施しても、身の回りの方々との共通理解に至るまで相当な時間がかかります。



塾での発達障害児指導はやりがいもある!!



正直にいいますと、発達障害児指導は難しいです。


しかし、当該児童生徒の本当に小さな前向きな変化を感じたときは、胸にくるものがあります。


自閉症の児童も毎回の学習を終え、帰宅する際必ず私のデスクにやってきて、「先生ありがとう。今日は帰ります」とただ一言伝えてくれます。

目を合わせてくれることは本当に少ないですが、担当講師として覚えてくれていて、あいさつをしてくれる!立派なコミュニケーションです!!

また、担当するADHDの生徒が50分間の模擬試験、試験中の独特な教室の静まり返った空間を乗り切ったシーンを見守ることも私の大切な記憶です。

ソワソワを自分なりに抑えて、他の生徒の迷惑にならないように自分自身で考えて行動している様子を見たときは感動しました。

解き終わって、消しゴムやシャーペンをカチカチして遊ばないように筆箱にすぐしまい静かに座っていました。

彼らの小さな変化から、指導する側の私もこどもたちの隠れたポテンシャルから見えないパワーをもらっています!



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