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大学非常勤講師のメリット・デメリットについて経験者が語ります

大学の先生になりたい、と思っている人はいませんか。

大学の先生といっても、「教授」「准教授」「助教授」「講師」「非常勤講師」「教育助手」「実験助手」といった違いがあります。

この場合、教授や准教授、助教授となると年間1000万円以上の年収が保証されている人がほとんどですが、ここまでの道のりは半端なく、そしてほとんどの人はその前に振り落とされる、プロスポーツ選手や芸術家と等しい険しい世界です。

そこで、大学非常勤講師のメリットとデメリットについて経験者がお話をしましょう。

目次

大学講師として働くために必要なことは?

大学生の話では大学職員は、人気の仕事の一つだそうです。

しかし、そう聞いて「学校の先生になりたい」と思っている小学生と同じような感じがするのは、私だけでしょうか?

本音を言ってしまうと、大学で仕事をするのはそれほど良いものではありません。

狭い世界です。殺伐としています。。

アカハラという言葉があるようにいじめもあります。

良い点はと聞かれると、比較的安定している、盆暮れ正月が休める、日曜日が休みやすいといったところでしょう。

そして、「聞こえ」が良いところだと思います。

例えば「○○さんの家の息子さん、どちらで働いているの?」と聞かれたら「A大学よ」「大学の職員なの」と答えるのは、親にとって聞こえが良く見栄を張りやすいですね。

なんとなくカッコイイので、小説やドラマの主人公にもよく取り上げられています。

そこで、大学で仕事をするための方法をまずご紹介します。

大学で非常勤講師の仕事をするための最低条件

大学の仕事は大きく分けると、教える立場の人間と事務を行う立場の人間がいます。

今回は非常勤講師のお話なので、教える立場になりたい人のお話をしましょう。

大学で教えるための最低限の条件は「大学院」以上の学歴があることです。

理系の場合は博士課程卒がゴロゴロしていますので、修士では採用されることはありません。

理系、工学系や上位有名大学の場合は、文系でも最低大学院後期、つまり博士課程を卒業し、学術論文を3つ以上発表しておきましょう。

これは仕事をするための最低条件になります。

さらに、大学のゼミの先生への印象が良いことも必要です。

新しく学部や学科を作る場合を除き、大学で教えるためには研究室のトップ、いわゆる教授について補佐的な授業を教えるところから始まります。

その後、教授の後輩や教え子が教授となっている大学の研究室などで、募集があると、そちらに紹介されることもあります。

そのため「教授に嫌われたら大学の仕事には就けない」というのが常識になります。

それでも、教授が定年で退任するまでは、研究室の「教授」というポストが空かないため、誰も研究室の教授になることはできません。

なかなかシビアな世界です。

非常勤の一般公募を狙ってみる

自分が働きたいと思っている大学より、上位の大学の博士課程を持っていると有利になる場合もあります。大学はA大学だったけれど、大学院はW大を卒業した、T大を卒業した、ということになると、同じA大学の大学院を卒業するよりも格上となるため、採用の時に有利になる場合もあります。

そして、逆に母校で働きたいけれどポストがない場合、あまり知られていない大学や、母校よりもランク下の大学を狙う、という方法もあります。

現在、日本はFランクといって大学に行く意味が本当にあるのか?と疑問視された大学がたくさんあります。

中には、古き良き女子大学で、かつては盛栄を放っていた大学も今では定員割れをしている大学もあります。

逆に、無名の大学が徐々にランクをあげているところもあります。

そこで、無名でまだ卒業生が少ない、これから期待が持てる大学で教えるというのも一つの方法です。

意外と知られている大学の教員でも、一般公募をしていることがあります。

自分が卒業した大学よりも少しランクは下がるけれど、まだまだ期待ができるという大学もあります。

こういった学校を仕事先として考えるのも一つの方法です。

古い女子短期大学・女子大学は、現在四年生大学に変わってきています。その成功例が「武蔵野大学」です。こういった大学は真にねらい目です。

大学のカリキュラムが変わり、英語教育や情報教育に、力を入れ始めた大学が増えています。情報を教えることができる職員はまだ少ないので、情報系の大学院を卒業した後、こういった場所で教えるという仕事はおすすめかも。

 

大学講師の一般公募先

いくつか大学公募の一般募集をしているサイトがありますので掲載しておきます。

JREC-IN Portal

 

コチラは非常勤講師です

 

日本語教育学会大学非常勤講師募集

 

このような場所。後は各大学が個別に募集をしています。

大学で仕事をするメリット・デメリット

大学の仕事全般に言えるメリット・デメリットは、最初にお話した通りです。

メリットは公立なら公務員、私立なら私学共済の職員になれるので安定している、盆暮れ正月は休める、周囲への印象が良い、教授になれればかなりの高額収入が見込めるということです。

テレビに出たり、本を出版したりと副業が充実しているのも、大学の教員ならではです。

デメリットは、世界が狭い、出会いが少ない、アカハラが当然のように行われている、殺伐としている、教授になれるのは仲間内のわずか「一人」ということです。

有名バレエ団のプリマドンナや劇団のトップスターのようですね。

教授たち間でも日常朗らかに会話をしていますが、裏では互いの足を引っ張ることで、わずか一つの「学科長」や「学部長」「学長」の席を狙っている世界です。

大学非常勤講師の倍率と将来性について

大学で教える仕事をする非常勤講師は、中高で教える非常勤講師と同じくらいの数がいます。

大学の先生の中で、半数近い先生は非常勤講師です。

大学で非常勤講師として教える先生の場合、他の本業を持っている人もいますが、ほとんどは教授の次のポストを狙っている人です。

大学院を卒業し、博士課程になると学生と同じような待遇を受けられるものもあれば、社会人と同じような待遇となるものもあります。例えば、学割などが効かない、学生納付特例制度や、親の扶養に入れないなど、色々なパターンがあります。

社会人ドクターと呼ばれている人は、いずれかの企業や研究所に所属し、仕事をしながら論文を書いて発表し、いずれは大学で教える仕事をしようと考えたり、企業内での地位を高めることを目的としています。

しかし、こういった人はバブル崩壊とともに、数は減り、企業経験があって修士を卒業しても博士課程を卒業していない、一定数の学術論文の発表がないと大学で教えられない、教授職ではなく非常勤講師になってしまうことがあります。

大学院前期、つまり修士を卒業した後、大学院後期の博士課程に進学します。

しかし、博士課程に進学するには経済的な余裕が必要です。

親が一定の収入がある、若くて定年になっていない、財産があり充分に支える力がある、というのは条件の一つです。

大学側から奨学生や特待生として博士課程に進学しても、授業料は免除になっても生活費まで出るわけではありません。

これが日本の大学の問題点です。他国と比較すると日本は大学の数が多すぎて、国が大学生への支援が十分行えていません。

そのため、研究職として海外に留学させたり、ドイツのように大学生の授業料が無償になる、北欧のように教員養成の大学は無償ということができません。

そこで、親の仕送りなどで生活費が賄えない博士課程の院生は、塾講師をしたり中高の非常勤講師をして、生活費を稼ぎます。

その中の一つとして、大学の非常勤講師という仕事があります。

20代後半から30代前半の若い非常勤講師の中には、こういった仕事の傍ら大学での研究を続け、博士課程を修了した後もオーバードクターとして、安定した仕事に就くまで非常勤講師兼研究者の立場を続ける人がいます。

こんな状態ですので、将来的に非常勤講師の所得や待遇が改善されるということは考えられないです。

大学講師のメリットは私立学校の兼任で時給UPできること

大学の非常勤講師のメリットは、オーバードクターとして大学に残って研究をする収入のない学生の、数少ない収入源になります。

大学の非常勤講師の良いところは、中高の非常勤講師と兼任することもできることです。

週に数日は大学で教授について研究を続け、その他の日を大学の非常勤講師の仕事、中高の非常勤講師の仕事をします。

安定はしていませんが、研究の傍ら収入を得ることができます。

また、私立の中高では大学の教員という肩書があると、他の非常勤講師よりも時給が高いという学校もあります。

一般の中高非常勤講師が初めは2500円スタートのところ、2800円、中には5000円などの高額な時間給を支払ってくれる学校もあります。

普通の非常勤講師よりも有利です。大学の非常勤講師をする、大学で教えている、ということはこういったメリットがあります。

時間調整がしやすい

また、大学の非常勤講師なら、他の仕事よりもスケジュールが合うため、自分の研究もしやすいというメリットもあります。

特に、自分が所属する大学なら試験期間や、夏休み、入試機関などのスケジュールが合うため、調整する必要がありません。塾講師や予備校講師、一般企業では忙しい時期が異なり、場合によっては繁忙期が重なってしまうことがあります。

大学の非常勤講師なら、忙しい時期はほぼ同じ時期のため、およそのスケジュールを立てやすいというメリットがあります。

そして、一番のメリットは「教授」「助教授」「准教授」といった仕事に就くための、最短ルートということです。非常勤講師を続けながら、自分が指示する教授の学会を手伝ったり、授業を手伝うことで常勤講師になり、やがてポストについたり、教授の口利きで他の大学の教授や准教授の仕事に就くことも可能です。

そのため、大学の教授を考える研究者の多くは、大学の非常勤講師として仕事をしています。

大学の非常勤講師のデメリットはコマ数の少なさ

大学の非常勤講師最大のデメリットは、生活が安定しないということです。

非正規の職員のため、社会保険や共済に入ることはできません。雇用保険の加入ができないため、失業した後の保障もないということです。

また、大学の非常勤講師は仕事のコマ数が少ないため、週に1~3日、しかも2コマから6コマ程度しか授業がないということです。

大学の非常勤講師でも、その学校が持つ附属の中高の非常勤講師と同じ時給という大学もあり、月数万円にしかならないということも。

ただし、大学の授業は中高の2コマ分になるため、2コマで4コマ分、6コマで12コマ分です。2コマでも、1万円ということですね。しかし、それが週に一回しかなければ月の収入は4万円です。

そこで、他の大学と兼任したり、大学よりもプラスαで時給を払ってくれる私学の中高の非常勤講師、塾講師と掛け持ちしている人もいます。

それでも月の収入は10万円から20万円と、生活を支えるには充分とは言えません。これが最大のデメリットです。

また、大学の研究者の門はあまりにも狭く、オーバードクターのほとんどはそのまま教授の地位につくことができません。中には、非常勤講師を掛け持ちしたまま定年の年齢になってしまう人もいます。

諦めて中高の教員になったり、予備校の先生や塾講師になることもあります。

また、狭い世界のため出会いがなく、非婚、晩婚の人が多いのもデメリットといえるかもしれません。

そして、人によってマッチするマッチしない、というのが人間関係です。研究室の中で教授のポストに就くためには、教授に気に入られなければ難しいです。

どれほど頑張っても、優秀でも、大学院に残っている時点で、他の人達もみんな同じように優秀です。

その中でたった一人の存在になるということは簡単ではありません。

「君しかいない」と思ってもらうことができなければ、一生非常勤講師のまま終わってしまうという世界であることを、知っておいてください。

さらに、リアルなお話をすると、自分が研究する学部や学科、研究室の人気がなく学生が集まらないと、消滅してしまう学科もあるということです。

せっかく何年も頑張っても消滅してしまったら、非常勤講師の仕事さえ失ってしまう、という世界です。

まとめ:大学の非常勤講師は厳しい世界

大学の非常勤講師という仕事は、とても厳しい世界の仕事です。保障もなければ、安定もしていません。しかし、一般の大学生の倍の年数を大学で過ごし、倍の授業料をかけています。

だからこそ、教授になりたい人は大勢います。大学に残って、確固たる地位につきたいという人ばかりです。しかし、こういった地位につけるのは、その中のほんの一握り。まさにプロスポーツ選手やトップスターのようなものです。

そのため、近年大学講師になりたいという人が減り、大学院まで行っても企業に就職する、研究者にはならないという人が増えつつあります。大学講師がいないため、定年後の教授が退任できないという研究室もある、という矛盾も生まれています。

大学の非常勤講師も中高の非常勤講師同様、安定した保障が必要な時代かもしれません。



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