こんにちは。
今日は、中学校の教師における休職・病気休暇の現状についてお話したいと思います。
よくニュースやコラムでも取り沙汰される教師の休職…。
精神的なものが、などとよく言われますが、そのあたりを詳しくお話しますね。
また、学校の先生といえど人間です。大病を患い、病気休暇に入ることもあります。病気休暇をするとどのように影響か出るのか、なども併せて書かせていただきます。
では、よろしくお願いいたします!!
中学校教師の病気休暇の現状と取得方法について
まずは病休と休職の違いについてお話させていただきます。
病気休暇とは、労働者側が「休みます」と言って休むものです。
一方で休職とは雇用者側、ここでは教育委員会が「休んでください」と辞令を出して休ませるものですので、両者は根本的に違うということを認識しておいてください。
では、病休についてです。病気休暇とは大まかに分けて3つあります。
- 公的な病気休暇(公務における怪我などはここです)
- 結核性休暇
- 私的な病気の休暇
今回は【公的な病気休暇】と【私的な病気休暇】についてお話します。
公的な病気休暇は、例えば修学旅行先で怪我をした、伝染病にかかったなどで職務に復帰できない時に申請するものです。
期間は約3ヵ月ほどで、申請する書類は【理由書(教育委員会指定の書式)】と【医師の診断書】になります。
私的な病気休暇とは、自分の体の病気や怪我(例えば休みの日の交通事故など)の際に申請をするものです。
期間と申請する書類は上記と同じです。
給料に関しては、病気休暇であれば満額支払われます。
金銭的なところは守られていると言っていいでしょう。
特に最近教師で多いのは、うつなどによる精神疾患で病気休暇になる教員です。
こうなると3ヵ月などの期間では復帰するのは難しくなり、後述する【休職】というふうになります。
ちなみに休職は3年間です。
かなり長く休みが取れると思います
教師の病気休暇の現状と割合
教師における病気休暇の人数とは以下のようになっています。
教育職員の病気休職者数は、全教育職員数の0.85%にあたる7,796人。このうち、精神疾患者が5,077人と病気休職者の65.1%を占めた。
(リンク先:公立教職員 精神疾患で5,077人休職…文科省調査)
ということで、精神疾患(うつ 等)において病気休暇となる教師が非常に多いです。
全体の約1%というとそれほど多いイメージはないかもしれませんが、中学校1校にはだいたい教師は30人程度います。
ということは、学校3つ分に対し、1人程度の病気休暇の教師がいるということになります。
一つの自治体で見てみると、数人はいるという現状を考えると、やはり多いと見るのが正しいのかなという感じはします。
また、生徒目線で考えても「急に先生が来なくなる、病気でお休みだと言われる」とやはりショックですよね。
そういう数字に表れない部分でも影響はあると思います。
教師が病気休暇をすると現場はどうなる?
ここでは最も多く発生する精神疾患での病気休暇についてお話しします。
病気休暇が発生するタイミングは、だいたい長期休暇(夏休みや冬休み、春休み)が明けたタイミングです。
言い方はあまり良くはないですが、生徒の不登校に似たタイミングで起こることが多いです。
病気休暇の連絡を受けると、学校としてまず動くことは、【授業の穴埋め】です。
英語や数学など、1つの学校に複数の先生がいる教科であれば、今はだいたいの学校で習熟度別学習や少人数授業を展開していますので、とりあえずそれを通常クラスに戻すことで対応します。
これは一人の先生が受け持つ時間数が増えるのを防ぐためです。
非常勤の先生や専科の先生がいる場合は、増担して受け持ってもらったりもします。
実際は教育委員会を通じて申請が要りますので、すぐにはできませんが形式上そうなります。
分割授業ではなく、クラスとして授業を担当していた先生が病休になってしまうと、同一教科の先生で増担して受け持つ場合がほとんどです。
今、公立中学校では1人で授業時間が14~16時間が基本の時間数だと思いますが、そこからだいたい+5~6程度担当することになります。
その間に管理職が教育委員会に報告をし、代替教員を探してもらうという流れになっています。
それでも代替が見つからない場合は、教頭先生や校長先生が授業に立たれたり、担任代行をするという話もよく聞かれますね…。(正直、それは惨状です)
中学校教師の休職の現状と取得の流れ
続いて休職です。休職とは前述したように、教育委員会から「休むよう」命を受けるものです。したがって辞令が出ます。
病気休暇が3ヵ月に対し、休職は3年です。
その期間の給与は自治体によって異なるかもしれませんが、私の働いているところでは80%と規定されているようです。
休職する場合はだいたいが前述した病気休暇の後に引き続き休職に入るパターンが多いようです。
申請する書類は以下の通り。
- 理由書(教育委員会指定の様式
- 病院での診断書2通
- 休職後、復帰した際に不安に感じる事象
- 休職希望期間
こんな感じで4つ5種類の提出が必要です。
休職の書類手続きで大変なのは診断書
特にネックになるのは病院での診断書です。病気休暇の場合はかかりつけのお医者様に書いていただければ問題はないのですが、2通となると新たに病院を探さねばなりません。
しかし、精神疾患で病気休暇をしている人に、新たに病院を探して診断書を書いてもらうなんてなかなか至難です。
しかも診断書って1通5000円ほどかかるんですよね。ということは2つ病院に行けばそれだけで10000円もの出費になってしまいます。
当然自費です。
しかも教育委員会も待ってはくれません。
「2つ目の診断書を急いで出すよう」当人に連絡を取ってきますので、まさに這いずりまわる思いで診断書を手に入れます。
診断書を手に入れた後はその他の申請書類の作成に入りますが、ここでの休職期間は最大で3年です。
3年を超えてしまうと復職するか分限免職をするかの選択をすることになります。
体感ですが、休職された方で実際に復職し、その後無事に勤められている方は本当に少ないです。
私も15年ほどこの仕事をしていますが、1人いたかどうかぐらいではないでしょうか。
どのぐらいの教師が休職しているのか?
先ほど、病気休暇のところで紹介した記事の続きです。
精神疾患による休職者を学校種別にみると以下の通り。
- 小学校2,333人(在籍者数に占める割合0.57%)
- 中学校1,384人(同0.59%)
- 義務教育学校3人(同0.18%)
- 高校742人(同0.40%)中等教育学校3人(同0.17%)
- 特別支援学校612人(同0.69%)
精神疾患による休職者の状況を所属校における勤務年数別でみると、「1年以上2年未満」が23.3%ともっとも多く、「6か月以上1年未満」19.1%、「2年以上3年未満」15.9%、「6か月未満」7.6%と、3年未満が7割近くを占めているとなっています。
( 成30年度公立学校教職員の人事行政状況調査に詳しく書かれています)
割合的には小学校・中学校が多いようですね。
小学校はやはり保護者の低年齢化と子どもに手がかかること、担任が全てをまかなわかくてはいけないので、担任教員に負荷がかかること、ベテラン教師の不足 あたりが原因ではないかと思います。
ここでの本命、中学校教師ですが、やはり若い先生ほど生徒や保護者から「ナメられ」てしまうこともあり、自信を無くして病休、休職という流れになることが多いです。
特にここ最近では学校というもの自体に対して反感を覚えたまま卒業して社会に出ていった保護者が増えている印象がありますので、情熱を持った新任の先生が打ちひしがれるという事例も出てきています。
休職する教師に対しての現場の対応
正直、いきなり休職に入る先生はいませんので、現場での混乱という面では少ないのは事実です。
ちなみに、私の自治体に関してだけかなと思いますが、少し疑問に思っていることがあります。
これは病休でも休職でもいえることなのですが、その教員の数を「1」としてカウントして発表するんですよね。
しかし、現実問題、その先生はお休みになられているので学校には来ないわけです。
現場は教諭および講師の数が標準より「1」少ない数で学校運営をしていかなくてはなりません。
もちろんその分非常勤の先生は入りますが、非常勤はあくまでも非常勤です。
学校は休職している教師に関しての発表はしないので、休職者が多い学校でも数字の上では全員が現場で働いているように見えてしまいます。
担任代行や部活動指導など、1人少ない状態で通常の学校運営をするわけですので、結局一人当たりの業務が増えて、新たな休職者を生む可能性があります。
そうならないためにも、少しシステムについては考えていただきたいですね。
まとめ
いかがでしたか?
病気休暇と休職の違いや現状についてお話させていただきました。
私も学校の教師をしていますが、本当に体が資本だと痛切に感じています。今年はコロナウイルスなどもあり、例年に比べて繁忙感も高かったと思います。
これを読まれている先生方も、ぜひ体に気を付けて日々の業務、頑張ってくださいね。
ありがとうございました。
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